USBメモリの取り外しは結構ふか~い意味がある

USBメモリ

USBメモリの場合は、「ハードウェアの安全な取り外しが必要だ」ということは、共通の理解として広まっていると思います。

しかし、Windows 7とWindows 8 / 8.1 / 10のパソコンで、外付けのリムーバブルディスクに関しての管理方法が変化しているということに対して、知っている人は少ないかもしれません。

Windowsにおいて、ハードディスクやUSBメモリのフォーマット形式はNTFSですが、ファイルの書き込みの高速化や、エラー時の回復などを管理するシステムとして「ログファイルシステム(LFS)」というものがハードディスクやUSBメモリに設定されるようになっています。

Windows 7までのログファイルシステムは、LFS1.1というバージョンでしたが、Windows 8 / 8.1 / 10 では、LFS2.0というバージョンにアップしています。

このログファイルシステムは、固定のものではなく、パソコンにUSBメモリや外付USBハードディスクが接続(マウント)されたときに、自動で設定されるというものです。

たとえば、Windows 7 のパソコンにUSBメモリが差し込まれれば、LFS1.1のバージョンのログファイルシステムがUSBメモリ内に設定されます。

一方、Windows 8 / 8.1 / 10 のパソコンにUSBメモリを差し込むと、LFS2.0のバージョンのログファイルシステムがUSBメモリ内に設定されます。

つまり、差し込まれた時点で設定が行われるのがログファイルシステムということです。

そして、問題になるのは、LFS1.1とLFS2.0の間には互換性が全くないという点です。

USBメモリを安全な機器の取り外しをせずに取り外すと、このログファイルシステムが設定されたまま残ってしまうことになります。

特に、USBメモリを、Windows 7 とWindows 8 / 8.1 /10 のパソコンの両方で交互に使うような場合に、安全な取り外しをしないと、ログファイルシステムの不具合が生じて、ファイルが見えなくなったり、USBメモリ自体が故障したりする原因になります。

このため、Windows 7 と Windows 8 / 8.1 /10 の両方のパソコンでUSBメモリを使われる場合は、どんなことがあっても安全な取り外しを行ってください。

さらに、ここで問題となるのが、Windows 8 / 8.1 / 10 からOS側で採用された「高速スタートアップ」という機能です。この高速スタートアップという機能は、パソコンの起動を高速化するために付加された機能です。

高速スタートアップでは、パソコンの起動を高速化するため、メモリやCPUの状態を保存しておき、その保存した状態を起動時に読み取ることで高速化しています。

しかし、この機能により、パソコン環境が変わることに対応できなかったり、接続されているハードディスクやUSBメモリのログファイルシステムが正しく更新されなかったりすることで、パソコンの起動が極端に遅くなったり、接続したハードディスクやUSBメモリの内容が読み取れなかったりするトラブルが生じることがあります。

そこで、トラブルを少なくするための対策として、Windows 8 / 8.1 / 10 の高速スタートアップの設定を無効にしておくという手段があります。

多少起動が遅くなりますが、外付ハードディスクやUSBメモリをよく使われる方が、トラブルを避けるという意味では効果的な対策だと思います。

また、パソコンをマルチブート化して、Windows 7と8 / 8.1 /10 などのOSを共存しているような場合には、特に必要な対策だと思われます。

高速スタートアップの設定は、「コントロールパネル」→「電源オプション」→「電源ボタンの動作の選択」の画面を出して、「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリックします。

そして、シャットダウン設定の中にある「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外します。

これにより、昔のログファイルシステムを記憶することがなくなり、起動時に正しいログファイルシステムが読み込まれることとなります。

パソコンの起動を高速にすることは、とてもうれしいことですが、それにより機器のトラブルが増えてしまうと何のための高速化なのかわからなくなってしまいます。

USBメモリの取り外しについても、奥の深い意味があることを理解し、安全に取り外していただくよう心掛けてください。

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