PHSの携帯電話が、今年2020年の7月31日をもってサービスを終了します。
PHSは、1995年にサービスを開始し、25年間利用されてきましたが、最後までPHSサービスを続けてきたY!mobileが、今年の7月末でサービスを終了するため、とうとう日本のPHSの歴史が終了することになります。
ちなみに、ドコモのガラケー(3Gの電波)のサービスは、2026年3月31日に終了することが決まっていますが、まだ5年間は使用できます。ただし、すでにガラケーの機種の生産やサポートは終了していますので、今後は、ガラケーからガラホやスマホへの移行が必要になってくると思われます。
1.2019年9月時点での携帯電話の契約数
総務省の調査によれば、携帯電話(スマホ・ガラケー・PHS)の比率は以下のようになっています。
携帯電話の全契約数:1億8096万契約
(スマホ:LTE/4G回線)1億4449万契約(79.8%)
(ガラケー:3G回線)3657万契約(20.2%)
(PHS:PHS回線)191万契約(1%)
PHSのシェアは現在1%程度ですが、PHSは長年病院などで使用されてきた経緯もあり、PHSがなくなることで、スマホへの移行が必要となる施設も多いのかもしれません。もちろん、個人の方でPHSを使用されている方も、早急にスマホへの移行が必要になります。
2.PHSの電話帳をどうやって取り出すか?
PHSの電話帳を取り出す方法としては、PHSをパソコンと接続して、取り出す方法しかありません。
まず、必要になるのが、PHSとパソコンとを接続するためのUSBケーブルです。このケーブルは機器を購入した時に付属品として付いているはずです。
このUSBケーブルは、特殊なものではなくて、PHS側のUSB端子はmini USB2.0 Type-Bの端子だと思われるので、一般の変換ケーブルでも探せばあると思います。
次に必要になるのが、PHSを認識するドライバソフトです。
こちらのドライバソフトは、京セラのページからダウンロードすることができます。
Windows版とMac版の2種類がダウンロード可能です。Zip圧縮されていますので、パソコンにダウンロード後解凍してから、インストールしてください。
なお、Windows版は、Windows10のパソコンでも動作します。
最後に必要となるのが、パソコン用ソフト「H”問屋」(エッジ問屋)です。このソフトは、PHSと接続した状態で電話帳のデータを閲覧や編集できるソフトなのですが、このソフトを使うと、電話帳のデータをCSVのデータに書き出すことができます。
ところが、このソフトを作成していたWillcomのページに行っても、ダウンロードページがなく、正式なソフトをもらってくることができません。
そこで、究極の手段として、過去のインターネットページを永久に保存してくれている「Internet Archive Wayback Machine」というありがたいサイトがありまして、そこから例外的に「H”問屋」というソフトをダウンロードすることができます。
・H”問屋 for Windows Ver.1.1.1(Windows版)
・H”問屋 for Macintosh Ver.1.15(Mac版)
がダウンロードできます。
※今後、上記の2種類のソフトがダウンロードできなくなる可能性もあるので、こちらの方からダウンロードできる経路も作っておきました。
・Windowsのソフトのダウンロード
・Macのソフトのダウンロード
これらの準備ができたら、以下の手順で操作してください。
3.PHSの住所録をH”問屋を使って、CSVファイルに書き出す
(1)まず、パソコンに「BAUM用USBドライバ」ソフトをインストールします。
(2)「H”問屋」のソフトをパソコンにインストールします。(デスクトップにH”問屋のアイコンができます)
(3)次に、PHSとパソコンをUSBケーブルで接続します。
(4)H”問屋を起動すると、最初だけシリアル設定の画面になるので、そこでは「自動設定」ボタンを押してから、OKボタンを押します。
(5)次に”H問屋の画面の中の電話帳をダブルクリックして開きます。
(6)電話帳の画面が出てくるので、「受信」ボタンを押すと、PHS内の電話帳が読み込まれて、表示されます。
(7)メニューのファイルから「CSVエクスポート」を選ぶことで、電話帳のデータをCSV形式のファイルとして保存することができます。
以上の操作で、PHSの電話帳データをCSVファイルとして保存することができます。
ただし、CSVデータはそのままではスマホの電話帳に移行することができません。そこで、以下の処理を行ってください。
4.Cassava Editorで、CSVファイルを編集する
CSVファイルというファイルは、テキストファイルなのですが、保存するとエクセルのアイコンになっていると思います。
そのままエクセルで開くと、電話番号の最初の0が消えてしまうことがありますので、エクセルでは絶対に開かないようにしてください。
CSVを編集するソフトとして、Windowsパソコンであれば、非常に便利なソフトがあります。
そのソフトが「Cassava Editor」というフリーソフトです。このソフトを用いると、とても安全にCSVファイルを編集することができます。
ダウンロード後、デスクトップに解凍してください。インストールはなくて、フォルダの中の「Cassava.exe」をダブルクリックするだけで起動します。
Cassava Editorを起動して、「ファイル」→「開く」として目的の電話帳のCSVファイルを読み込みます。
読み込まれたCSVファイルには、たくさんの列があると思いますが、不要な列は削除して、以下のような列だけにしてください。(項目の名前は以下のような名前ではないと思いますが、内容を見て必要な列だけにしてください)
・名前
・電話番号
・携帯電話番号
・メールアドレス
・メモ
誤字・脱字の編集や、電話番号の形式の一貫性などがなかった場合は、ここで編集してください。
次に、一番上にある項目名だけを以下のように英語に変更します。
・名前 → Name
・電話番号 → Business Phone
・携帯電話番号 → Mobile Phone
・メールアドレス → E-mail Address
・メモ → Notes
変更したら、次に「ファイル」→「変更時文字コード」として、「UTF-8」を選択します。
続けて、「ファイル」→「変更時文字コード」として、「LF」を選択します。
最後に、「ファイル」→「名前を付けて保存」からファイルを保存してください。
ファイルはデスクトップ上に保存するようにしてください。
ファイル名は英語名を付けた方がいいと思います。
例:denwa.csv
5.Googleの連絡先にCSVファイルをインポートする
スマートフォンに連絡先を移行するためには、Googleの連絡先にインポートすると、スマートフォン側で簡単に認識できるようになります。
Google IDとパスワードは、スマホで使用するGoogle IDとパスワードと同じものにしてください。
恐らく、PHSをお持ちの方はGoogle IDをお持ちではないと思います。そこで、新しくGoogle IDを取得して、その時にパスワードを決めてください。
そして、スマホが手に入ったら、その同じGoogle IDをスマホに登録するようにしてください。アンドロイドの場合は、購入後最初に起動したときに、Google IDとパスワードを入れることになっています。
iPhoneの場合は、Apple IDを使って最初にログインしますので、やり方は異なります。
(1)インターネットでGoogleのページに行って、Google IDでログインします。
(2)Googleの「連絡先」を開きます。(Googleトップページの9つの点のマークの中に連絡先があります)
(3)連絡先を開き、左側のメニューの中の「インポート」を選択します。
(4)次に、「ファイルを選択」ボタンを押して、さきほどのCSVファイルを選択して開きます。
(5)「インポート」を押すと、連絡先にデータがインポートされます。
アンドロイドスマホの場合は、上記と同じGoogle IDで使用していれば、電話帳の連絡先に自動で表示されてきます。
iPhoneの場合は、「設定」の「パスワードとアカウント」から入って、「アカウントを追加」を押して、Googleを選択後、Google IDとパスワードでログインすれば、Googleの連絡先をiPhoneの連絡先に追加することができます。
以上が、PHSの電話帳をスマホに取り込むまでの方法です。
とても長い工程ですが、CSVファイルさえパソコンに取り込めれば、あとは何とかなると思います。
現在PHSをお使いの方は、Y!mobileに加入されている方だと思いますので、スマホもY!mobileの会社で契約することで、電話番号の移行もスムーズに行えます。
なお、PHSで使用していたメールは使用できなくなります。そのため、スマホではGmailを代わりに使うようにしてください。
Y!mobileでスマホを申し込むと、スマホがすぐに届きますが、電話番号の切り替えはY!mobileに電話をして切り替えるという方法になっていますので、注意してください。電話で切り替えを依頼してから、1~2時間程度で大本のシステムが切り替わるので、その後にスマホの初期設定をするようにしてください。
次回の記事は、ガラケーの電話帳をスマホに取り込む方法について書いてみたいと思います。