プリンタといえば、Canon、Epson、Brother、HPというメーカーが主流です。
パソコンをお持ちの方は、これまで何台かのプリンタを購入してきたと思います。
しかし、「このプリンタは最高だった!」と思えるプリンタはそれほど多くありません。
1.プリンタの歴史を振り返ると
日本でパソコンが初めて普及してきたのは、1980年代ですが、そのころのプリンタの主流は、NECのプリンタでした。
今のプリンタと違って、感熱紙に印刷するタイプのプリンタや、インクリボンを使ったドットインパクトプリンタが主流でした。
ドットインパクトプリンタの紙は、今のようなA4サイズではなくて、紙の両端に穴の列があって、その穴を使って、紙が送られるというタイプでした。
1980年代の終わりに、Canonが世界で初めてインクジェットプリンターを開発しました。
最初に作られたインクジェットプリンタは、Canonの技術が使われているにもかかわらず、Appleが発売した「Style Writer」というプリンタでした。
その後、1990年代になると、プリンタの主流は、NECからエプソンに移ります。
最も売れていたプリンタがエプソンの「カラリオ」という名前のプリンタです。
一方、インクジェットプリンタと同時に、会社で普及するようになったのが、レーザープリンタです。
レーザープリンタとは、インクではなく、色のついた微粒子を静電気で紙に結合させる技術を使っているプリンタのことです。
この技術は、CanonやEpsonなどのメーカー以外にも、様々なメーカーが参入して多くのプリンタや複合機で使用されています。
2000年以降は、インクジェットの技術が大幅に進歩して、レーザープリンタに負けないレベル(綺麗さや速度)の印刷ができるようになってきています。
2.プリンタの紙のセット方法の疑問
その昔は、プリンタに使用する紙は、プリンタの後ろ側にセットして使うのが主流でしたが、近年では、プリンタの底の部分にトレイに紙をセットするタイプが主流になってきています。
これは、複合機などのように、異なるサイズの紙を数種類のトレイでセットしておけば、自動的に紙サイズが選択されて印刷されるということで普及してきたのだと思います。
しかし、家庭用のプリンタでのトレイは通常1つしかなく、紙サイズのためというよりは、プリンタの小型化のために、無理矢理、底にトレイを作っているというのが本当のところだと思います。
実際、プリンタの下にあるトレイを前に引き出して、異なるサイズの紙を入れ替えるという作業は、とても面倒なものです。
これに対して、プリンタの後ろ側に紙を置くタイプであれば、異なる紙サイズを簡単に入れ替えることができますし、紙の量が少なくなったら、すぐに手動で追加することもできます。
つまり、使い勝手は、紙は後ろにセットした方が便利なのに、プリンタのコンパクト化の犠牲になって、底のトレイに紙をセットするようになったのではないかと、私自身は考えています。
3.色ごとにインクカートリッジがあるのは、本当に節約なのか?
最近のもう1つの変化は、インクが色ごとに別々のカートリッジになってきたことです。
確かに、カラーのインクが別々のカートリッジになっていることで、減ってきたインクだけを取り換えるというのは、理にかなっていることだと思います。
しかし、インクをぎりぎりまで使ってから、今日はこのインクだけを取り換えようとすると、取り換えの頻度が多くなり、プリンタはそのたびごとに、ヘッドをチェックして、きれいにする動作を行うことになります。
皆さんは気づいていないかもしれませんが、プリンタの初期動作や、インク交換後の動作では、すべてのインクをチェックするために、インクを消費しているんです。
色ごとに取りかえていると、その度ごとに初期動作を行うため、全体のインクの消費量は増えてしまうことになります。
このような意味で、カラーのインクが1つのカートリッジになっていたころの方が、インクが長持ちしたんだけど・・・と思っている方も多いのではないかと思います。
4.スキャナやコピーの機能を使っている人はそれほどいない
最近、プリンタの名称は、「プリンタ」と呼ばずに、「複合プリンタ」なんていう呼び名になっていると思います。
この複合プリンタとは、スキャンも、コピーも、さらにファックスまでもできますというようなことだと思います。
恐らく、ファックス機能が必要な方には、複合プリンタはいいのかもしれませんが、一般の方で、スキャンやコピー機能をきちんと使っている人は、どれほどいるのでしょうか?
おそらく、印刷物を作るような人以外は、スマホで写真に記録すれば足りるんじゃないかと思うのです。
ビジネスなどでは大型の複合機のスキャン機能はかなり使われていると思いますが、小型の家庭用のプリンタでスキャンやコピーという機能の頻度はかなり少ないのではないかと個人的には思っています。
5.USB接続よりも、無線LANで使う人が増えているけど、
現在売られているプリンタでは、USB接続以外に、有線LAN接続や無線LAN接続ができる機種があたりまえになっています。
ここで面白いのは、一般の家庭用のプリンタでは、意外と有線LANは使われていないということです。
これに対し、ビジネス上の複合機は、有線LANで接続されているのが通常だと思います。
USBも有線ですし、LANケーブルも有線なので、家で使う場合はケーブルでつなぐということにはかわりなく、それがプリンタの置き場所を制限していることになり、結局、不便だということになっています。
このため、ほとんどの人が家のWiFi経由でプリンタを無線LANでつないでいるということになっています。
ところが、この無線LANという形での接続は、プリンタの動作を非常に不安定にさせています。
電波というのは、目には見えませんし、プリンタにデータを送ったんだけど、なかなか印刷が始まらないけど、どうなってるの?
というケースが意外と多いんですね。
私の経験から言えば、USB接続でパソコンと直接接続したプリンタの方が、無線LANで接続したプリンタより、印刷の速度は10倍以上速いと思います。
特に、年賀状など大量に印刷するような場合は、USB接続で印刷した方が、圧倒的に早く終わります。
つまり、無線LANの利点は、プリンタの置き場所が自由であるという点だけで、印刷そのものの性能から言えば、効率が悪いといえます。
6.伝説のプリンタ「Canon PIXUS iP2700」は、時代に逆行したプリンタでした
とても、残念なことに、Canon PIXUS iP2700というプリンタは、2018年の2月に販売を終え、店頭には見つけることができません。
しかし、昨年までは、日本で最も売れたプリンタの1つでした。
特に、Amazonでの販売では、プリンタ部門でずっと1位を獲得していました。
その特徴は、
- 紙はプリンタの後ろにセットする
- インクカートリッジは、黒のカートリッジと、カラーのカートリッジの2つしかない。
- スキャナやコピーの機能がない
- USB接続しかできない
という前時代的なプリンタでした。
しかし、すばらしい特徴としては、
- 名刺サイズの紙に印刷できる
- すべてのサイズの封筒に印刷できる
- 紙がつまることがない
- プリンタの操作ボタンが2つしかない(電源ボタンと紙送りボタンの2つ)
- 重量が軽いので、どこでも持って移動できる
つまり、前時代的なプリンタですが、極めて使いやすい特徴を持っているプリンタでした。
さらに、昨年までは、
- アマゾンでの価格が、3,000円前後と超安いプリンタでした
驚くのは、インクカートリッジ(黒・カラーのセット)の価格よりも安い価格で購入することができたプリンタでした。
もちろん、購入するとインクは標準で付属していますので、考えられないくらいの安さでした。
ところが、今年の2月に販売中止となり、手に入れることが難しくなったとたん、多くのファンがいるこのプリンタの価格は、跳ね上がり
- 現在、アマゾンで売られている新品(残っている在庫のみ)の価格は13,000円を超えてきています。
これまで、販売中止になって、価格が4倍以上になったプリンタはまず存在しません。
つまり、このCanon PIXUS iP2700というプリンタは現在、「伝説のプリンタ」となっています。
私自身もこのプリンタを所有していますが、全く不満がなく、これほどすばらしいプリンタはこれまで記憶にないと思います。
パソコン教室の生徒さんにも、これまで相当勧めてきたプリンタです。
しかし、今の価格では、なかなか手がでないというのが本音です。
ところが一方で、このプリンタの中古がアマゾンで売られています。
通常、中古のプリンタを買う人はまずいないと思いますが、何しろシンプルな構造のプリンタですので、中古で動かないということはまずないと思います。
もし、興味のある方は、ぜひ一度アマゾンで調べてみてください。