Surfaceの電源に関わるトラブルとBIOSのしくみ

Surface Pro3

以外と知られていないようですが、タブレットの電源のトラブルは、結構多いようです。

タブレットはノートパソコンと違って、電源の交換ということができません。もちろん、分解することも不可能なので、個人でなんとかできるような代物ではありません。

不思議なのは、アンドロイドのスマホだけは、簡単に背面パネルが外せて、バッテリーの交換ができる構造になっていて、この点は妙に感心したりします。

スマホやタブレットで充電が突然できなくなったというトラブルは、結構あるのですが、購入してすぐであれば、新品と交換したりできるので大きな問題にはなっていないのかもしれません。

昨年末に、知人の持っているSurfaceで、この電源問題が起こり、マイクロソフトに電話していろいろと試したのですが、解決することができませんでした。

問題となったSurfaceはSurface RTという初代のタブレットPCなのですが、聞いてみると、去年の8、9月ごろに行ったWindows Updateを境に充電ができなくなったということでした。

症状としては、AC電源をつなげて放置しても、バッテリーが0%から全く上がってこないというものでした。もちろん、AC電源がないと、全く起動することもできない状態でした。ネットで調べてみると、同じようなトラブルが多数発生していることがわかりました。

最終的には、問題が解決しない場合は、定価の半額程度の値段で新品と交換するサービスがあるとのことでしたが、その料金で別のタブレットPCを購入した方が賢明と考える人も多いのではないかと思います。

マイクロソフトのサポートに、いろいろと聞く中で、Surfaceのシステムが一般のパソコンとはかなり違ったものになっていることがわかりました。

Surfaceには、Surface RT(単にSurfaceと呼ばれることもある)というタブレットタイプと、Surface Proというパソコンタイプの2つのタイプがあります。現在広告等でよくみるSurface Pro3というのは、パソコンタイプになります。この2つのタイプは、外見上はよく似ているのですが、そのOSの構造はかなり違ったものになっています。

Surface RTは、一見すると通常のパソコンと変わらないように見えますが、マイクロソフトのアプリをダウンロードすることはできても、一般のソフトやフリーソフトをインストールすることは全くできません。一方、Surface Proは、通常のパソコンと同じように、一般のソフトやフリーソフトなどを自由にインストールすることができるWindows 8.1を搭載しています。

この2つのSurfaceですが、実は一般のパソコンと根本的に違うことがあります。それは、BIOSというシステムに関する点です。

通常のパソコンでは、マザーボードに接続されたデバイスを管理するBIOSというプログラムを持っており、このBIOSを直接アップデートするBIOS Updateという仕組みを持っています。

ところが、Surface RTおよび、Surface Proについては、BIOS自体を直接Updateするのではなくて、BIOSとOSの間をつなぐ、Unified Extensible Firmware Interface (UEFI) というファームウェアをアップデートすることでBIOSの機能を変化させていくという仕組みを持っています。

このUEFIと呼ばれるファームウェアは、未来のBIOSということで、パソコンのブート時のセキュリティを強くしたり、起動時間の短縮に貢献したりする優れた機能をもっており、今後のパソコンやタブレットで普及していくしくみになるようなのですが、今回のSurfaceのバッテリーの不具合は、このファームウェアの不具合により発生したものらしいということです。

一般に、BIOSは起動の管理、CPUの管理、メモリの管理、記録装置の管理、電源の管理、日時の管理などパソコンの基本的な管理を行うものです。このためBIOS Updateは慎重に行わなければならず、Updateに失敗するとパソコンが起動できなくなります。

一方、UEFIと呼ばれるファームウェアは、BIOSを変更することなくパソコンの管理レベルに変更を加えることができるソフトウェアというものらしいのです。BIOSを直接変更することがないので、一見して安全に運用ができると思われるのですが、実はUEFIと呼ばれるファームウェアの更新に失敗してしまうと、パソコンに致命的な影響がでるという危険性もあるのです。

SurfaceRTやSurface Proの場合、UEFIファームウェアの更新は、Windows Updateでやってきます。ですから、Windows Updateの途中で何等かのトラブルが生じてしまい、UEFIが正常に更新されなければ、今回のようなバッテリーのトラブルを引き起こしてしまう可能性があります。

昨年、Suface RTおよびSurface Proに対して行った、UEFIのアップデートにおいて不具合があり、それをその後修正したプログラムを配布したのですが、最初の不具合のあるファームウェアをインストールした時点でUEFIのプログラムに関わる部分にエラーが生じ、その後の修正プログラムが有効に働かないということで、問題が発生したようです。

これに対して、マイクロソフト側は、Surface Proに対しては、手動でUEFIファームウェアをダウンロードできるサイトを公開して対策をとり、これによってSurface Proのバッテリー問題は解決したようです。

しかし、Surface RTにおいては、一般のプログラムをダウンロードしても、それを実行することができないというOSですので、直接UEFIをダウンロードすることはできず、Windows Updateで修正パッチをインストールして元に戻らなければ打つ手がないということでした。

つまり、結果的に見れば、UEFIというファームウェアが、一般のWindows Updateといっしょに配布されることが、今回のようなトラブルのキッカケが作ったのではないかと思われます。

できれば、Windows Update以外のメンテナンス画面などで、UEFIファームウェアの更新は行われるべきではないかと個人的には思いました。

ちなみに、私もSurface RTを持っているのですが、バッテリーの不具合もなく今まで正常に動いています。おそらくWindows Updateに失敗しなかったのだと思われます。

この問題は、単にSurfaceだけの問題ではなく、一般のタブレットについても、同じような危険性があることを示しています。タブレットのシステムの根幹にかかわるBIOS自体をどのような形でアップデートするのが一番いいのかは、今後の課題になっていくと思います。