Wi-Fiの基礎知識とネット接続トラブルへの対応方法

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最近、Wi-Fiに関するトラブルが増えてきているようです。この機会にWi-Fiについての知識をつけて、問題に対処できるようになりましょう。

 

1.最近起こっているWi-Fiトラブルとは

Wi-Fiというのは、主には自宅のインターネット環境における無線LANのことなのですが、現在以下のようなトラブルが報告されています。

1.iPhoneのiOSをバージョンアップしたところ、家のWi-Fiに接続したときに、インターネットが突然切れたり、インターネットの画面がフリーズしたりするようになった。

2.上記の同じ環境において、Androidスマホでインターネットを使ったり、見たりしても全くトラブルは起きていない。

3.Windows10のパソコンに対して「拡張セキュリティ更新プログラム」(ESU)を使って、1年間のサポート延長を行ったが、その後のWindows Update後に、自宅のWi-Fiを全く認識しなくなり、インターネットに接続できなくなった。

4.iPhoneでインターネット共有(テザリング)をONして、Windows10のパソコンをiPhone経由でインターネットを行っていたが、iPhoneのiOSをアップデートしたところ、Windows10のパソコンから、iPhoneのSSIDが見えなくなり、インターネットに接続できなくなった。

これらのトラブルは、実は同じような原因によって引き起こされているものです。

結論から言うと、「Wi-Fiのセキュリティのレベル」がアップデートによって高くなり、それに対応できない機器との相性が悪くなったということです。

ただし、その原因となる機器は、1つだけではなく、複数のものが関係していることもあります。

 

2.Wi-Fiの基礎知識

Wi-Fiとは、Wireless Fidelity(ワイヤレス・フィデリティ)」の略であり、Wi-Fi Allianceに認定されたIEEE 802.11の無線通信規格のことです。IEEE 802.11は、米国電気電子学会(IEEE)が策定した無線LAN(Wi-Fi)の標準規格群です。異なる機器間での通信を可能にするための取り決めであり、セキュアな通信とデータ暗号化のプロトコルも定義しています。

このWi-Fiの規格ですが、歴史は1997年から始まっています。

世代 新名称 規格名 最大通信速度 周波数帯
第1世代 (1997年) IEEE 802.11 2Mbps 2.4GHz帯
第2世代 (1999年) IEEE 802.11a 54Mbps 5GHz帯
第2世代 (1999年) IEEE 802.11b 11Mbps 2.4GHz帯
第3世代 (2003年) IEEE 802.11g 54Mbps 2.4GHz帯
第4世代 (2009年) Wi-Fi 4 IEEE 802.11n 600Mbps 2.4GHz帯/5GHz帯
第5世代 (2013年) Wi-Fi 5 IEEE 802.11ac 6.9Gbps 5GHz帯
第6世代 (2019年) Wi-Fi 6 IEEE 802.11ax 9.6Gbps 2.4GHz帯/5GHz帯

現在広く使われている規格は、「IEEE 802.11ac」や「IEEE 802.11ax」になっていると思われます。また、最新の規格としては、2022年以降、第7世代のWi-Fiが出てきています。

第7世代(2022年) Wi-Fi 6E/7 IEEE 802.11be 46Gbps 6GHz

このように、年々Wi-Fiの速度は上がってきていますが、これとは別に、Wi-Fiにおけるデータの暗号化の歴史があります。

暗号化の歴史は、家庭用(Personal)と企業用(Enterprose)がそれぞれありますが、RC4 ⇒ TKIP ⇒ AES-CCMP ⇒ AES-GCMPと進化してきています。

以下にWi-Fiのセキュリティ規格を表にまとめておきます。

(1)Personal(家庭用)WiFiセキュリティ規格

年代 セキュリティ
規格
認証方式 暗号化方式
アルゴリズム
特徴
1997年 WEP 共有キー
(パスワード)
RC4(40/104bit 初期規格。脆弱で現在は非推奨。
2003年 WPA-Personal PSK
Pre-Shared Key
TKIP(RC4改良)
(AES-CCMP)
WEPの改良。暫定的で脆弱性あり。
2004年 WPA2-Personal PSK
Pre-Shared Key
AES-CCMP 長らく標準。AES採用で強力。
2018年 WPA3-Personal SAE
Simultaneous
Authentication
of Equals
AES-CCMP
AES-GCMP
最新規格。辞書攻撃に強く、Forward Secrecyを提供。

通常、私達が使用しているのは、WPA2-PersonalおよびWPA3-Personalのどちらかになっているはずです。このセキュリティ規格は、無線LANの親機やパソコンに内蔵された無線LAN子機、パソコンに接続するUSB無線LANアダプタによって決まっています。

(2)Enterprise(企業用)Wi-Fiセキュリティ規格

年代 セキュリティ規格 認証方式 暗号化方式
アルゴリズム
特徴
2003年 WPA-Enterprise 802.1X
EAP認証)
TKIP
AES-CCMP
WEPの改良。暫定的で脆弱性あり。
2004年 WPA2-Enterprise 802.1X
EAP認証)
AES-CCMP 企業で広く利用。ユーザー単位で認証可能。
2018年 WPA3-Enterprise 802.1X
EAP認証)
AES-CCMP
AES-GCMP 256
最新規格。192ビットセキュリティスイートを採用可能。非常に強固。

家庭用の認証方式(PSKやSAE)に対して、企業用は802.1Xという認証方式になっているのが大きな違いです。

 

3.現在起きているWi-Fiのトラブルの原因は何か?

iPhoneやWindows PCで起きているWi-Fiのトラブルは、スマホやパソコンのOSがアップデートされることにより、従来は使えていた暗号化方式「TKIP」が使えなくなり、認証規格は、WPA2以上で、暗号化方式は「AES-CCMP」を要求されることになったからです。

たぶん、こんなことを言ってもほとんどの人は何のことかわからないと思うのですが、簡単に言うと、インターネットに接続するためのルータ機器、無線LAN機器、無線LAN子機が古くなってくると、暗号化方式に対応しなくなり、その結果、Wi-Fiがつながらなくなると考えてください。

実は、Wi-Fiとは直接関係ないように思われているインターネットルータですが、こちらも古い機種ですと、IPv6とIPv4の切り替えがうまく行かないことで、ネットの接続が遅くなり、その結果ネット接続が不安定になるというケースもあるようです。

NTT系のルータをお持ちの方で、インターネットが不安定になっている方は、NTTに電話して、ルータの交換をお願いしてみるのがいいと思います。

また、無線LAN親機が古い方の場合も、暗号化方式が対応していないために、iPhoneやパソコンのOSがアップデートされると、古い暗号化方式の無線機器を認識できなくなり、結果としてネット接続ができなくなるようです。

比較的古いWindows10のパソコンで、Windows Update後にWi-Fiに接続できなくなった場合は、無線LAN親機が問題の場合もありますが、パソコンに内蔵された無線LANデバイスが対応できていない可能性が高いです。その場合は、外付けのUSBタイプの無線LANアダプタを購入して、Wi-Fiに接続してみるのがいいと思います。

新しいWindows11のパソコンで、Wi-Fiに接続できなくなった場合は、無線LAN親機のファームウェアのアップデートを試みてください。それでも問題が解決しない場合は、無線LAN親機を買い替えて新しくするのがいいと思います。

いずれにしても、Wi-Fiの電波は目に見えないので原因を探るのが難しく、苦労されている方が多いと思います。

 

4.WindowsパソコンでWi-Fi情報を確認する方法

とてもわかりにくいWi-Fiのセキュリティ規格ですが、Windowsパソコンのコマンドプロンプトを使って、パソコンのWi-Fiの状態を確認することができます。

(1)パソコンの無線LANデバイスのドライバがサポートするWi-Fi情報を見るコマンド

コマンドプロンプトの画面で、以下のコマンドを入力して、Enterキーを押します。

「netsh wlan show drivers」

このコマンドを実行すると、沢山の情報が列挙されてくるのですが、その中にある「インフラストラクチャ モードでサポートされる認証と暗号:」という項目の中を見てください。

ちなみに私のパソコンでは以下のような結果が見られました。

オープン なし
オープン WEP-40bit
オープン WEP-104bit
オープン WEP
WPA-エンタープライズ TKIP
WPA-エンタープライズ CCMP
WPA-パーソナル TKIP
WPA-パーソナル CCMP
WPA2-エンタープライズ TKIP
WPA2-エンタープライズ CCMP
WPA2-パーソナル TKIP
WPA2-パーソナル CCMP
オープン 定義されるベンダー
WPA3-パーソナル CCMP
定義されるベンダー 定義されるベンダー
WPA3-エンタープライズ 192 ビット GCMP 256
OWE CCMP
WPA3 – エンタープライズ CCMP

上記の青色の認証方式と暗号化方式の組み合わせは、非推奨となっています。
対して、赤色の認証方式と暗号化方式は、現在推奨されている方式です。

この中にある「OWE」というのは、Opportunistic Wireless Encryptionという略なのですが、Wi-Fiの用語では「Enhanced Open」とも呼ばれています。これは、空港やレストランなど公共Wi-Fiサービスの暗号化(盗聴解読防止)を目的として認証方式となります。

(2)現在、パソコンが接続しているWi-Fiの情報を見るコマンド

コマンドプロンプトの画面で、以下のコマンドを入力して、Enterキーを押します。

「netsh wlan show interfaces」

このコマンドを実行すると、現在接続しているWi-Fiの親機との通信に関する情報を得ることができます。

ここで注目してほしいのは、「無線の種類」と「認証」と「暗号」と「バンド」です。

ちなみに私のパソコンでは以下のような結果が見られました。

無線の種類 : 802.11ac
認証 : WPA2-パーソナル
暗号 : CCMP
バンド : 5 GHz

つまり、無線の種類は「ac」の5GHzで、セキュリティの認証方式がWPA-Personalで、暗号化方式は「CCMP」であることがわかります。

 

5.MacパソコンでW-Fi情報を確認する方法

Macパソコンの場合についても、Wi-Fiの情報を確認する方法があります。

Macパソコンのターミナルを起動して、以下のコマンドを入力後、Returnキーを押します。

「system_profiler SPAirPortDataType」

このコマンドを実行すると、現在接続中のWi-Fiの情報だけでなく、まわりのWi-Fiの情報まで表示してくれます。

 

6.iPhoneのiOS18以降でネット接続に不具合が生じる問題への対処方法

iPhoneはハードウェア的には非常に進歩的なスマートフォンです。iPhoneが対応しているWi-Fi規格については、Appleの技術情報のページに詳しく書かれています。

AppleデバイスのWi-FiおよびEthernet仕様

ワイヤレスネットワークに接続する際のセキュリティ機能

iOSにおいては、暗号化方式としてTKIPは非推奨になっており、iOS18以降では接続できないようになっています。

また、最新iOSにおいては、WPA3方式で128ビットのAES暗号化が標準となりつつありますが、WPA2方式の128ビットのAES暗号化にも対応しています。

ただし、iOS18以上で起こっている問題は、Wi-Fiとの相性だけではなくて、ルータ側でプロバイダーが提供するIPv6対応のDNSとIPv4対応のDNSの切り替えがうまく行かず、特定のサイトがつながりにくくなるというトラブルも発生しているようです。

アンドロイドのスマートフォンでは、この切り替えのエラーが生じても無視できるようなのですが、iOSはこのエラーを回避できないために、接続がストップするのではないかと考えられているようです。

この解決策として、プロバイダのDNSを経由せずに、Google Public DNSやCloudflareのDNSを経由する方法が推奨されています。

これは、これらのDNSにおいては、IPv6とIPv4の切り替えがスムーズであり、タイムアウトエラーが出にくいということのようです。

いずれにしても、iPhoneを使用している方で、iOSのアップデートによりWi-Fiでのネット接続が不安定になった方は、以下の方法を試してください。

  1. 1.設定アプリを開く
  2. 2.Wi-Fiをタップ
  3. 3.使用中のネットワーク名(チェックマークが付いている)の右側にある「i」マークをタップ
  4. 4.下へスクロールして「DNSを構成」を探してタップ
  5. 5.現在「自動」となっているが、「手動」に切り替える
  6. 6.既存のエントリがあれば、「-」ボタンを押して削除した後に、右上にある「サーバーを追加」をタップして以下を入力する
    「8.8.8.8」(Google Public DNS)
    「1.1.1.1」(Cloudflare)
  7. 7.プライマリ(上)に「8.8.8.8」、セカンダリに「1.1.1.1」と入れます
  8. 8.入力が終わったら、右上にある「保存」をタップして設定を終わります
  9. 9.Wi-Fi接続が自動で再接続されることもありますが、念のため一度Wi-FiをOFFにしてから、再度ONにして、ネットワークを選びなおして接続し直してください

ちなみに、iPhoneのアプリの中に、VPNアプリやセキュリティアプリが入っていると、DNSを上書きすることがありますので、これらのアプリは削除してから、上記の方法を試す方がいいと思われます。

もし、設定を元の状態に戻したい場合は、手順5のところで、「自動」に戻せば元の状態に戻ります。

 

7.古いWindowsパソコンにおいて、Wi-Fi接続が出来なくなった問題への対処方法

古いWindows10のパソコンなどで、内臓の無線LANデバイスが、最新の規格のWi-Fi機器に対応できなくなり、パソコン側から目的のSSIDが見えなくなることがあります。

この場合は、内臓の無線LANデバイスのドライバソフトの更新で解決することもありますが、すでにドライバソフトのアップデートでも対応できないような場合は、外付けのUSBタイプの無線LANアダプタを購入することがベストな選択です。

3000円くらいで手に入ると思いますが、購入した外付けのUSB無線LANアダプタのドライバソフトのインストールが必要になります。ドライバソフトはCDで提供される場合と、ネットからのダウンロードで提供される場合があるのですが、CDドライブを持っていない場合や、すでにネット接続ができなくなり、有線LANポートがないというパソコンの場合は、別のパソコンでドライバソフトをダウンロードして、USBメモリでそれを対象のパソコンにコピーするなどの操作をする必要があります。

いずれにしても、無線機器については、無線LANの親機側も、子機側も定期的に最新のものに買い替えていくことで、トラブルを回避できると思います。

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