アメリカのトランプ政権の登場により、世界各国ではアメリカ離れが急速に進んできています。
ヨーロッパ各国(EU)では、Windows OSやMicrosoft Officeの使用により、アメリカの一企業の意向でコンピュータのOSやアプリが影響を受けてしまう状況に危機感を持っています。
このような中で、Microsoft、Google、Appleというアメリカのデジタル企業から脱却して、「デジタルの主権」を取り戻していこうという動きがEU各国で実際に起こってきています。
EUの各国では、「Windows」から「Linux」へのOSの移行や、「Microsoft Office」から「LibreOffice」への移行を検討している国もあります。また、メールアプリについては、「Outlook」から「Thunderbird」への移行が進んできています。
一方、日本では未だにそのような流れはなく、Microsoft、Google、Appleを正統なデジタル環境であると信じ、Windows 10からWindows 11に移行することが当然だと考えている人々が大多数であると思います。また、iPhoneの新製品を際限なく買い続けるといった人々であふれています。
そういう意味で、日本はアメリカにとって都合のいい国となっていると言えます。
しかし、世界的な潮流としては、コンピュータ業界においても、アメリカ一極主義からの脱却がゆっくりではありますが、少しづつ始まっていると考えた方がよさそうです。
このような意味から、今回は、完全無料の「LibreOffice」について、掘り下げて説明してみたいと思います。
1.LibreOfficeとはどういうアプリなのか?
2001年頃から、Windows OSだけではなくMacOSやLinuxなどのプラットホームでも動くOfficeということで、「OpenOffice.org」というアプリが開発されてきました。その後、2010年頃に「OpenOffice.org」からの開発の流れは2つの別れ、1つが「LibreOffice」もう1つが「Apache OpenOffice」が生まれました。
詳しくは、こちらのサイトを参照ください。
現在の最新バージョンとしては、「LibreOffice 25.2(2025)」と「Apache OpenOffice 4.1.15(2023)」となっています。それぞれのインターフェースを見ると、LibreOfficeの方が洗練されており、最新のインターフェースを備えていることから、Microsoft Officeの代替アプリとして考えれば、「LibreOffice」を選択することが妥当だと思われます。
LibreOfficeは、完全に無料のアプリであり、Windows、Mac、Linuxのパソコンでインストール可能です。(開発は寄付によって成り立っています)
LibreOfficeのダウンロードページ
https://ja.libreoffice.org/download/download/
インストールすると、以下のようなアイコンがデスクトップに現れます。
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このアイコンをダブルクリックして、アプリを起動すると以下のような画面になります。

左側にメニューがあり、「Writer」「Calc」「Impress」「Draw」「Math」「Base」という6個のアプリが存在しています。
Microsoft Officeと比較すると以下のようになります。
| LibreOffice | Microsoft Office | 内容 |
| Writer | Word | 文書作成 |
| Calc | Excel | 表計算、マクロ |
| Impress | Powerpoint | プレゼン |
| Draw | 図形描画 | 図形の作成 |
| Math | 数式エディタ | 数式の文字を作成 |
| Base | Access | データベース |
Microsoftと比較すると、図形描画と数式エディタのアプリが余分に存在している点と、メールソフトであるOutlookに相当するものがないという点はありますが、ワード、エクセル、パワーポイント、アクセスの代替のアプリは備えていると言えます。
これらアプリのファイルはOpen Document形式のファイル形式となっており、別のアプリからも開くことができるようになっています。また、名前をつけて保存から、Microsoft Officeのファイル形式としての保存も可能です。(ちなみに、Microsoft Officeの各アプリからLibreOfficeの標準ファイル形式のファイルを読み込むことが可能です)
| LibreOffice | 標準ファイル形式 | 拡張子 | MS Office形式での保存も可能 |
| Writer | ODF文書ドキュメント | .odt | Word2010-365ドキュメント(.docx) |
| Calc | ODF表計算ドキュメント | .ods | Excel2007-365(.xlsx) |
| Impress | ODFプレゼンテーション | .odp | Powerpoint2007-365(.pptx) |
このように、LibreOfficeは、Microsoft Officeとの間でファイル交換ができる機能を持っており、十分に活用できるアプリだと言えます。
2.LibreOfficeを導入すると増えるフォント
LibreOfficeでは、OSに最初から入っているフォントを使用することも出来ますが、Windows以外にMacOSやLinuxなどでも共通のフォントが使用できるように、互換性を高めるためのフォントがアプリを導入した段階で追加されています。
- Liberation Fonts(Liberation Sans、Serif、Monoなど)英語
- DejaVu Fonts(DejaVu Sans、Serif、Monoなど)英語
- Noto Fonts(Googleが提供する多言語対応のフォント)日本語と英語
実際に使用してみるとわかりますが、「Noto Fonts」はとてもきれいなフォントであり、とても見やすいフォントです。
Windowsパソコン同士であれば、Windows標準のフォントを使用することもできますが、WindowsとMac間でのフォントの互換性は低く、同じような名前のフォントがあったとして、フォントのデザインは異なることが多く、完全な互換性はありません。
そういう意味で、WindowsとMacの両方で共通にインストールされる「Noto Fonts」は、Windows・Mac・LinuxのOS間で使えるフォントとして、価値のあるフォントであると言えます。
3.LibreOffice 25.2(2025)のユーザーインタフェース
Microsoft Officeでは、Office2007からユーザインタフェースとして、「タブとリボン」というメニューの概念を作りました。「LibreOffice 25.2」は、従来のメニューに加えて、マイクロソフトオフィスに似せた「タブとリボン」のユーザインターフェースを選択できるようになっています。
Writerの画面で、説明します。
これが従来からのメニューのインタフェースです。

ここから「表示」-「ユーザーインタフェース」を選択して、

UIの種類を「「標準ツールバー」から「タブ」に変更して、「すべてに適用」ボタンを押します。この操作によってLibreOfficeのすべてのアプリが以下のような「タブ」タイプのユーザーインタフェースに変更されます。

再び、標準のユーザーインタフェースに戻す場合は、右上の三本線からユーザーインタフェースを選択することで変更できます。

また、タブのユーザーインタフェースの状態で、従来のメニューを表示する場合は、左上のボタンを押すだけです。

このように、従来のメニューとタブが共存できるところも、LibreOfficeの特徴です。
4.LibreOffice Writerでの余白の考え方
基本的には、Microsoft Wordと似たような構造になっているので、Wordを使える方は、問題なく使えるのではないかと思います。
ただ、Wordとは異なる概念を持つ部分もあります。その1つが余白とヘッダーに関わる部分です。
Wordは余白の中で、ヘッダーやフッターの位置を定義しますが、Writerでは余白は、余白の長さとヘッダーの長さを合わせて、実際の余白が表されます。
つまり、実際の上余白 = 上の余白 + ヘッダーの間隔 + ヘッダーの高さ
という計算になります。
たとえば、Wordの標準余白と同じように上35ミリ、左右下30ミリという余白とヘッダーを設定する場合、Writerでは以下のように設定します。
「レイアウト」タブの中の「ページ余白」をクリックして、以下のように設定します。

ここで、上の余白は、3.50cmではなく、2.50cmと設定します。
次に、下に見えている「詳細オプション」をクリックします。

左のメニューから「ヘッダー」を選択して、その中にある「間隔」と「高さ」の部分を共に、0.50cmに設定します。これでOKすることで、実際の余白は3.5cmとなります。
つまり、実際の上余白(3.5cm)=上の余白設定(2.5cm)+ヘッダーの間隔(0.5cm)+ ヘッダーの高さ(0.5cm)
という理屈です。この場合、ヘッダーの間隔は、本文領域からの距離を意味しており、ヘッダーの高さはヘッダーに入れる文字の高さを意味しています。
この設定をしてから、ヘッダー領域をクリックすると、以下のような表示となっています。

それぞれの設定は上の図のようになっています。実際の余白は3つの長さの足し算になることを理解ください。
5.LibreOffice Writerでの行間の考え方
もう1つの大きな違いは、段落における行間の考え方です。Microsoft Wordにおいても行間の概念は難しく、理解されている方は少ないと思います。
Writerでの行間の設定は、「ホーム」の「行間隔の設定」ボタンから行います。

通常は、「行間1行」がデフォルトの設定になっていますが、1行というドロップダウンをクリックすると、以下のような選択肢が表示されます。

この中で、実際にカスタマイズして使う可能性があるのは、「行間余白」と「均整」の2種類だと思われます。これらを比較したものが以下の図です。

「行間1行」というのは、「標準の行間」を意味しており、「行の高さ」を意味しています。この行の高さを1.15倍したものが、「行間1.15行」です。
これに対して、「行間余白」とは、「行間1行」に加えて上下に「固定の余白」を加えたものです。
さらに、「行間均等」とは、行間を減らすときに有効です。「行間1行」に対して、パーセンテージで行間を設定できることから、90%とか80%などに設定することで、行間を詰めていくことができます。
6.LibreOffice Writerでの既定のフォントの設定
Writerで使用するフォントを既定で設定することが可能です。

三本線から「オプション」をクリックします。

上記のようなオプションの画面となりますが、左の項目から「LibreOffice Writer」を展開して、その中の「既定のフォント(アジア諸言語)」をクリックします。
この中の設定で、標準フォント、見出しフォント、リストなどのフォントの種類とフォントサイズなどを指定して既定とすることができます。
英語のフォントに関しては、1つ上にある「既定のフォント(西洋諸言語)」を選択すると、同じように設定することができます。
7.LibreOffice Writerでのテンプレートの作成
LibreOfficeを起動した度に、基本の設定を変更するのは大変ですので、設定したファイルからテンプレートを作成することをおすすめします。
テンプレートの作成は、「ファイル」タブの中の「テンプレートとして保存」から行います。


ここでは、「テンプレート名」の入力と、「自分のテンプレート」のカテゴリーを選択して、「保存」ボタンを押します。
(上記の画面で、「既定のテンプレートにする」にチェックすると、Writerの既定のテンプレートになってしまいますので、注意してください。)
それでは、Writerを終了して、LibreOfficeのホーム画面に戻ってみましょう。
WriterからLibreOfficeのホーム画面に戻る方法は、三本線から「閉じる」を選択します。

ホーム画面の左の項目の中の「テンプレート」を選択すると、さきほど保存したテンプレートを確認することができます。

8.LibreOfficeのCalcについて
LibreOffice CalcはMicrosoftのExcelに相当するアプリです。
最新のエクセルと同様の関数が用意されています。使い方はエクセルと似ていますので、それほど苦労することなく使えると思います。
fxボタンを押すことで、持っている関数の種類を確認できます。
残念ながら、Excelにある「パワークエリ」や「パワーピボット」の機能はありませんが、ピボットテーブルの機能やグラフの機能は持っています。
また、マクロのプログラム機能も持っていますが、ExcelのマクロのVBAとは異なるタイプのVBAとなっており、基本コマンドをきちんと勉強する必要がありそうです。
9.LibreOfficeのImpressについて
LibreOfficeのImpressは、MicrosoftのPowerpointに相当するアプリです。
基本的な使い方は、Powerpointと全く同じような感じです。
アニメーションも同じように作成することができます。
マスタースライドも編集することができます。
使い方もほぼ同じなので、Powerpointを使っている人は、すぐに馴染むことができそうです。
10.LibreOfficeの可能性
LibreOfficeには、メールソフトは付属していません。Outlookに変わるメールソフトはThunderbirdとなります。
Windowsでは、主流はMicrosoft Officeなので、LibreOfficeを使う方は少ないと思いますが、MacパソコンやLinuxパソコンではLibreOfficeの可能性は高いと思われます。
今回、LibreOfficeの可能性を検証してみたのですが、無料で使用できるOfficeということでは、かなりの性能を持っていると思われました。
マイクロソフトのOfficeを使う場合、3年おきにバージョンアップがあったり、サブスクで1年おきに高いコストがかかったりしていますので、長期的な視点でLibreOfficeに置き換えていく可能性もあるかと思いました。
最近は、クラウドと連携したアプリが多くなり、複雑な仕組みに加え、新たなサービスにかなりのコストが必要になるケースも増えています。
LibreOfficeは、完全なローカルアプリであり、バージョンアップもありますので、安心して使用できると思います。
また、ファイル形式もオープンドキュメント形式ということで、互換性も保たれていますし、各種ファイル形式へのエクスポートも用意されています。
また、標準でPDF形式へのエクスポートを備えています。
今後は、ヨーロッパを中心にLibreOfficeが広まっていくことになると思いますので、無料でインストールして試してみるのもいいかと思います。






















