iPhoneのHEICとJPG、LIVEフォトとGoogleフォトの不思議な関係

iPhoneのHEICとJPEGとGoogleフォトの関係 スマホ・iPhone

iPhoneというスマホでは、初期設定の状態では、写真のファイルフォーマットは、「JPGファイル」ではなくて、「HEICファイル」となっています。

iPhoneを使っている人は、どっちでもいいじゃんと思っているかもしれませんが、HEICファイルの写真はWindows10では見ることができません。

Windows11では「フォト」アプリでHEICファイルが開けるようになっていますが、残念ながらWindows10の「フォト」アプリでは開けません。

また、ちょっと古いWindows系の動画編集ソフトでも、HEICファイルを読み込むことができません。

実は、HEICファイルというのは、Appleが作ったファイル形式で、正式な名称は、High Efficiency Image Containerというものです。

HEICファイルのメリットとしては、JPGファイルより30%ほどファイルの容量が小さいという特徴があります。

HEICファイルのデメリットとしては、Apple製品以外のデバイスでは、HEICは一般的なファイル形式ではないため、アプリが対応できないことが多いという点です。

 

1.iPhoneの設定を変えるだけで、ファイル形式をHEICからJPGに変更できる

iPhoneで写真の保存形式をHEICからJPGに変更することは簡単です。

「設定」から「カメラ」を開いて、一番上にある「フォーマット」をタップします。

  • 高効率
  • 互換性優先

という2つの選択肢がありますが、初期設定では「高効率」にチェックが入っているかと思います。

ここで、「互換性優先」にチェックを入れると、その後の撮影では、写真の保存形式は「JPG」となります。

 

2.iPhoneの写真撮影でのLIVEをONにして撮影した場合

iPhoneの写真撮影でのLIVEフォトの機能も、iPhone独自の機能です。

実際には、撮影前後1.5秒の動画(トータル3秒程度)を撮影しているというだけなのですが、撮影後に、数秒の動画から1枚の写真を選べるというところがメリットです。

このLIVEフォトについては、実際には1枚の写真と1枚の動画という2つのファイルで構成されているのですが、iPhone上は1つの写真ファイルとしてのみ見えており、編集することではじめて動画の部分を確認できます。

このLIVEフォトについても、上記の「フォーマット」形式が影響してきます。

つまり、「高効率」を選ぶと、「HEIC」の写真となり、「互換性優先」を選ぶと、「JPG」の写真となります。

しかし、実はこのLIVEフォトのHEICとJPGのファイルは、パソコンへの取り込み方法によって、単純ではない変化があることがわかりました。

 

3.MacとWindowsのパソコンの種類でLIVEフォトのファイルが変化する

iPhoneからパソコンに動画を取り込むという場合、MacパソコンとWindowsパソコンで根本的な違いがあります。

(1)Macパソコンの場合

Macのパソコンの場合は、同じAppleのアカウントであれば、「写真」はiCloudで同期されていますので、「写真」を開けば、iPhoneと全く同じように見えています。

フォーマットの設定 ファイル形式 LIVE機能 写真の向き
高効率 HEIC LIVEの再生機能保持
キー画像も変更可能
正常
互換性優先 JPG LIVEの再生機能保持
キー画像も変更可能
正常

驚くべきは、Macの場合は、ファイル形式がJPGファイルとなっていても、LIVEの再生機能を有しているという点です。

このことから、iPhoneのLIVE機能は、写真とは別にLIVEの動画が保存されていることが予想されます。しかしながら、それは別ファイルとはならずに、写真ファイルに関連付けされている動画が裏にあると考えられます。

(2)Windowsパソコンの場合

WindowsパソコンにiPhoneの写真を取り込むためには、iPhoneとWindowsパソコンをUSBケーブルで接続する必要があります。

ケーブルの接続後、iPhone側の画面で「接続を許可」します。

すると、エクスプローラーでPCを開くと、「Apple iPhone」というドライブが現れています。

このドライブを右クリックして、「画像とビデオのインポート」をクリックします。

そうすると、以下のような画面となります。

画像とビデオのインポート

ここで、「インポートする項目を確認、整理、グループ化する」を選択すると、インポートする写真を選択してからインポートができます。

一方、「すべての新しい項目のインポート」を選択すると、これまでインポートされたことがない写真すべてについて、インポートが行われます。

インポートは、自動で行われ、ピクチャーの中に今日の日付のフォルダが作られ、その中に写真やビデオのファイルが保存されます。

Windowsパソコンの場合は、取り込まれたファイルの特性は以下のようになります。

フォーマットの設定 ファイル形式 写真のタイプ LIVE機能 写真の向き
高効率 HEIC 通常モード 正常
LIVEフォト 再生機能なし 正常
互換性優先 JPG 通常モード 縦の写真は横向きになる
LIVEフォト 再生機能なし 縦の写真は横向きになる

ここでの問題としては、Windowsパソコンに取り込まれたHEICやJPGファイルには、LIVE機能はなくなっているということです。

さらに、JPG画像の場合は、縦で撮影した写真が横向きになってしまうという現象が生じました。(横で撮影した写真は横向きのままで正常です)

 

4.Googleフォトによっても、ファイルの種類に影響が出てくる

多くの方が、iPhoneにGoogleフォトのアプリを入れていると思います。

実は、このGoogleフォトのアプリを介することで、写真ファイルに変化が起こってきます。この変化はWindowsパソコンに写真を取り込んだ時に観察できます。

(1)Googleフォトを起動して、写真ファイルの同期を行った後に、USBケーブルでWindowsパソコンにインポートした場合

フォーマットの設定 ファイル形式 LIVE機能 写真の向き
高効率 HEIC LIVEの再生機能なし 正常
互換性優先 JPG
MOV
JPGは再生機能なし
MOVで動画を再生
縦の写真は横向きになる

ここで変化したことは、Googleフォトで同期を行った後に起こる現象です。

Googleフォトで同期が行われることで、互換性優先の設定では、JPGとMOVの2つのファイルがWindowsパソコンに取り込まれるようになります。

MOVファイルというのは、Mac純正の動画形式のファイルです。つまり、Googleフォトで同期が行なわれた瞬間に、LIVE機能の中の動画部分が独立したMOVファイルに変換されたようです。

しかしながら、iPhone上では、このMOVファイルは見えていません。Windowsパソコンにインポートした段階で見えるようになります。

(2)Googleフォトのクラウドでのファイルの形式

次に、同期されたGoogleフォトのクラウドの写真を見てみましょう

Googleフォトにパソコンのブラウザからアクセスすると、写真自体は、HEICファイル、JPGファイルとなっており、MOVファイルは存在していません。

フォーマットの設定 ファイル形式 LIVE機能 写真の向き
高効率 HEIC LIVEの再生機能あり
キー画像の変更は不可
正常
互換性優先 JPG LIVEの再生機能あり
キー画像の変更は不可
正常

次に、これらHEICファイルとJPGファイルをパソコンにダウンロードした場合について見ていきます。

(3)Googleフォトから写真をダウンロードした場合のファイル形式

今度は、Googleフォトのクラウドから、WindowsのパソコンにLIVEフォトで撮影されたファイルをダウンロードしてみると、以下のようになります。

フォーマットの設定 ファイル形式 LIVE機能 写真の向き
高効率 HEIC
MP4
HEICは再生機能なし
MP4で動画を再生
正常
互換性優先 JPG
MP4
JPGは再生機能なし
MP4で動画を再生
正常

ここで注目すべきは、USBケーブルでパソコンにLIVEフォトをインポートした場合は、動画ファイルがMOVファイルだったのに対して、Googleフォトからダウンロードされた動画ファイルはMP4ファイルになっていることです。

また、JPGファイルの向きに関しても、USBケーブルでインポートした場合は、縦向きの写真が横向きになっていたのですが、GoogleフォトからダウンロードされたJPGファイルは、正常の向きとなっています。

つまり、写真と動画の2つのファイルが作成されます。ここでのMP4動画ファイルの秒数は2秒で、本来の3秒間ではなくなっています。

これは、iPhoneのLiveフォトがGoogleフォトによって写真ファイルと動画ファイルに分解される時に、3秒間の動画が2秒間に短縮されているように思われます。

このように、Liveフォトに関しては、Googleフォトによってファイル構造が変更されて、クラウドにアップロードされていると考えられます。

 

5.Googleフォトのアップロード設定によるファイル容量の違い

Googleフォトのバックアップの設定の中で、「バックアップの画質」の設定ができます。

以下の2つの設定があります。

  • 保存容量の節約画質
  • 元の画像

「保存容量の節約画質」を選択しておくと、HEIC、JPGともに、ファイルの容量が小さくなってクラウドにアップロードされます。

この場合、ファイル容量は小さくなっても、画像のピクセル数は変化しません。

画質設定 ファイル形式 ファイル容量 パーセント
元の画質 HEIC 2.26MB 100%
JPG 3.64MB 100%
保存容量の節約画質 HEIC 2.04MB 90%
JPG 1.78MB 48%

上の表は1例ですが、保存容量の節約画質にした場合、HEICファイルのファイル容量は大きく変化しませんが、JPGファイルは半分程度の容量になっており、かなり節約されることがわかります。

 

6.まとめると・・・。

iPhoneからWindowsパソコンへ写真を取り込む方法によっても、ファイルの種類により様々な違いが生じることがわかったと思います。

とても複雑なので、1つの図にまとめることにしました。

iPhoneのHEICとJPEGとGoogleフォトの関係

結論的なことを言えば、

iPhoneとWindowsパソコンをお持ちの方は、USBケーブルを介してパソコンに写真を取り込んだ場合、縦方向の写真が横向きになってしまうという問題が生じてしまいます。また、HEICファイル自体については、そのままでは開けないという場合もあります。

さらに、HEICファイルよりJPGファイルの方がファイル容量が大きくなってしまうというデメリットもあります。

そこで、iPhoneとWindowsパソコンをお持ちの方は、カメラのフォーマット設定で「互換性優先」として、、Googleフォトのバックアップの設定で、「保存容量の節約画質」という設定にしておき、iPhoneの写真をGoogleフォトのクラウドにアップロードします。その後、アップロードされた写真をWindowsパソコンにダウンロードすることで、JPGファイルは、HEICファイルよりも容量が小さい状態となり、かつ縦向きの写真は、縦向きのままで見ることができるようになります。

このように複雑な現象は、Apple自体が独自路線でハードウェアとアプリの仕様を作っていることが原因です。今後も同じような問題が、iPhoneとWindowsパソコンの間いには生じてくるように思われます。

なお、Androidのスマートフォンについては、パソコンとUSBケーブルで接続して写真をインポートすることで何の問題も起きません。

Androidのスマートフォンでは、写真はJPG、動画はMP4のファイル形式となっており、Windowsパソコンとの相性はとてもいい状態です。

なお、Windows11のパソコンの「フォト」アプリでは、HEICファイルは開けるようになっています。ただし、多くの写真アプリでは、HEICファイルに対応していないものも多く、HEICファイルをJPGに変換する必要が出てくると思われます。

 

7.Windowsパソコンで、HEICファイルをJPGに変換するアプリ

HEICファイルのままWindowsパソコンに取り込んでしまい、困っている方は、HEICファイルをJPGファイルに変換するアプリがあります。

Windowsストアに行って、「HEIC to JPEG」というアプリを検索してください。

そうすると、有料版と無料版のアプリが検索できると思います。

「HEIC to JPEG – Lite Edition」という方が無料版ですので、パソコンにインストールしてください。

HEIC to JPEG ファイル変換アプリ

このアプリを使うと、簡単にHEICファイルをJPGアプリに変換することができます。

 

8.Macパソコンをお持ちの方の最適な設定とは?

Macパソコンで写真アプリを開けば、iPhoneで撮影した写真は、iCloudを介して繋がっているので、すぐに閲覧することができます。

写真アプリの機能を使うと、Macパソコン上で、様々な加工ができるようになります。

この場合のファイル形式は、HEICでもJPGでも、同じように加工ができるようになっています。

(1)HEICファイルの書き出し方法

問題は、iCloud上にある写真をMacパソコンにダウンロードした時のファイル形式です。

実は、写真アプリのライブラリの画面から、写真をMacのデスクトップにドラッグすると、「.jpeg」という拡張子になって保存されます。

つまり、元々はHEICファイルだったとしても、ドラッグすると「.jpeg」という拡張子のファイルへ変換が起こってしまうということです。

これを、HEICファイルとしてMacパソコンに保存したい場合は、以下のような手順が必要です。

写真ファイルのメニューの「ファイル」から「書き出す」として、さらに「1枚の写真を書き出す」をクリックします。

そうすると、ファイル形式として、JPEG、HEIC、TIFF、PNGのどれかを選択して、書き出すことができます。

(2)JPGファイルの書き出し方法

iPhoneのカメラの設定で、「互換性優先」とすると、Mac側の写真アプリ上でも「JPGファイル」として表示されており、通常どおり写真編集を写真アプリ上で行うことができます。

このJPGファイルは、写真のライブラリからMacのデスクトップにドラッグすると、「JPGファイル」のまま、拡張子は「.JPG」として保存されます。

つまり以下のようなことが言えます。

カメラの設定 写真アプリ上でのファイルタイプ Macパソコンのデスクトップにドラッグした時のファイル拡張子
高効率 HEIC .jpeg
互換性優先 JPG .JPG

つまり、写真アプリ上ではHEICであっても、ドラッグした時にはJPGファイルになってしまっているということなのです。

ただし、HEICファイルをドラッグすると、拡張子は「.jpeg」となり、JPGファイルをドラッグすると拡張子は「.JPG」になるということです。

つまり、Macパソコン側では、HEIC形式よりもJPG形式の方が優先して考えられていると思われます。

このようなことから、Macパソコンの場合であっても、iPhoneのカメラの設定を「互換性優先」として、iPhoneで写真を撮影した方が、メールなどで送るときにもトラブルがありませんし、結局はMacパソコンでもJPGファイルで使用した方が問題なく使えるように思われます。

また、LIVEフォトについては、iPhoneのストレージの容量を消費する原因になりますので、なるべくLIVEフォトを使わない設定で写真を撮影した方がいいと思われます。(集合写真などの時は、一時的にLIVEフォトをONにして撮影した方がいいと思いますが、通常はOFFで撮影するということです。)

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