Windows11のパソコンでは、スタートメニューを開くと「Microsoft 365 Copilot」というアイコンが目に入ってきます。

「一体これは何なの?」と疑問に思っている人は、とても賢い人です。
なぜなら、「Microsoft 365」はサブスクのOfficeアプリであり、「Copilot」はMicrosoftが作ったAIサービスであり、その2つが合体したものは、一体何なのかと疑問に思うのは当然だからです。
昔からマイクロソフトのネーミングセンスは最悪であり、これまで多くのWindowsユーザーはそのたびに悩み、怒り、あきらめてきました。本題に入る前に基礎知識として、マイクロソフトのネーミングの歴史を勉強してみましょう。
1.マイクロソフトのネーミングの歴史の勉強
過去から現在まで私達を悩ましているのが、Microsoftが何度も変更をしてきたメールアプリのネーミングです。
1995年当時、Windows95に付属していたマイクロソフトのメールは「Exchange」として始まり、Windows98になってからは「Outlook Express」となりました。そのころ同時にオフィス付属の「Outlook」が生まれてきます。Windows XPになってからは、「Outlook Express」は個人用として、「Outlook」は会社用として長らく使われました。この状況が変化したのが、Windows Vistaからです。
Windows Vistaでは、「Outlook Express」の後継として「Windowsメール」が生まれ、Windows 7からは、「Windows Liveメール」に引き継がれました。Windows 10になると単に「メール」というアプリに変わったかと思えば、その名前が途中から「Outlook」に変わり、オフィスに付属する「Outlook」と同じ名前になってしまいました。そうこうしているうちに、Windows 11になるとOSに付属するメールは「Outlook (New)」となり、オフィスに付属するメールは「Outlook (Classic)」となったというわけです。
全くふざけたネーミングだと思いませんか?
OneDriveも、昔は「SkyDrive」と呼ばれていました。しかし、2014年頃に「Sky」というネーミングが商標権の問題となり、OneDriveに変更されました。変更途中のパソコンでは、SkyDriveとOneDriveが同居していた時期もあるんですよ。
そして、最近のネーミングで一番困っているのは、「Office 365」が「Microsoft 365」に変更になったことです。元々、2011年頃に、Office365はサブスクリプションのOfficeとして始まりました。Officeのバージョンが3年ごとに新しくなるたびに、新しいバージョンのOfficeを買わなくてもいいように、サブスクリプションのOfficeとして始まったのが「Office 365」です。
しかし、2020年、この「Office 365」は「Microsoft 365」にネーミングを変更したんです。実はこれには別の経緯があります。2010年ごろからWeb上で使えるOfficeをマイクロソフトが開発を始めて、当初は「Office Web Apps」と呼ばれていたのですが、これが2014年に「Office Online」に名称が変更されました。つまり、ローカルで使えるサブスクオフィスが「Office 365」で、ウェブで使える無料のクラウドオフィスが「Office Online」と呼ばれていたんです。今から考えると、これが一番わかりやすいと思うんです。
ところが、マイクロソフトは、2022年に「Office 365」と「Office Online」と統合して、「Microsoft 365」と呼ぶようにしたんです。つまり、ローカルにインストールするサブスクのオフィスも「Microsoft 365」で、ウェブ上で使える無料のクラウドのオフィスも「Microsoft 365」なんですよ。これって意味がわかりませんよね。
でも、こういうところがマイクロソフトの悪しきネーミングの伝統です。
一方で、近年AIがめざましい進歩を遂げてきて、マイクロソフトもAIのツールを作成してきました。2023年の2月に「Bing Chat」というAIを発表したのですが、この年の11月には「Microsoft Copilot」に名前を変更したんです。当初はEdgeに付属する機能としてCopilotを提供してきましたが、Windows 11の登場に合わせて、独自のアプリとしての「Copilot」をOSに付属させてきました。
このCopilotの登場以降、マイクロソフトは独自のAIツールの開発と、OfficeアプリへのCopilotの導入を進めてきました。
そして、ウェブ上で使える「クラウドのOfficeアプリ」と「その他のクラウドアプリ群」をまとめて「Microsoft 365 Copilot」というクラウドプラットホームを作ったというわけです。
たぶん、この説明では「Microsoft 365 Copilot」をイメージするのはとても難しいと思いますので、具体的に説明していきたいと思います。
2.Microsoft 365 Copilotの中身を知る
(1)ワード、エクセル、パワーポイントの起動
Windows 11のスタートメニューから「Microsoft 365 Copilot」を起動すると以下のような画面が出てきます。

中央に書かれた文字に「無料」と書かれているのと、「5GB」と書かれていたら、Microsoft 365のサブスクを契約していないということを意味しています。
一方で、Microsoft 365を契約している人の場合は、以下のような画面になります。

ここでは「登録済み」と「1TB」という文字があります。
実は、Microsoft 365に登録している人と登録していない人では、このクラウド上のワード、エクセル、パワーポイントのアプリの挙動が異なります。
| パソコンの中のOffice | 起動するOfficeの種類と保存先 | OneDrive容量 |
| Microsoft 365 officeを使用 | ●ワードとパワーポイントだけは、Microsoft 365のアプリが起動する。エクセルは、クラウド版のアプリが起動する ●保存先はOneDriveのみ |
1TB |
| 永久版のMicrosoft Officeを使用 2013,2016,2019,2021,2024などの永久版Office |
●ブラウザが起動してクラウド版のOfficeが起動する(ワードだけは、ローカル版が起動することもある) ●保存先はOneDriveのみ |
5GB |
| 全くOfficeアプリを持っていない | ●ブラウザが起動してクラウド版のOfficeが起動する ●保存先はOneDriveのみ |
5GB |
Microsoft 365を登録をしている人は、通常のローカルで動いているワード、パワーポイントのアプリが起動してきます。エクセルは、クラウド版のエクセルが開きます。いずれも、ローカルにファイルが保存されず、保存先はOneDriveになります。
一方で、Microsoft 365を登録していない人は、ブラウザが起動して、クラウド上にあるワード、エクセル、パワーポイントのアプリが開きます。(初回だけログインを求められることがあります)
このクラウドアプリは、簡易版のワード、エクセル、パワーポイントであり、たとえ永久版のOfficeを持っていたとしても、それが起動されるわけではありません。(ワードだけは永久版のワードが起動されることもあるようです)
いずれも、ファイルの保存先は、強制的にOneDriveのみとなり、保存はリアルタイムで行われることになります。(保存作業はありません)
ただし、「コピーを保存」という機能を使用すれば、ローカルにファイルを保存することもできます。
保存先のOneDriveは無料で5GBの領域を使用できますが、Microsoft 365を契約している人では1TBの領域となります。(Microsoft 365 Basicを契約している人は100GBの領域があります)
(2)そのほかのクラウドアプリの種類
Microsoft 365 Copilotには、ワード、エクセル、パワーポイントの他に様々なアプリがあります。左側のマークから、「アプリ」をクリックすると以下のような画面になります。

上の図のように、多種多様なアプリがあります。以下、アプリの名称と内容をまとめます。
| アプリの名称 | アプリの内容 |
| OneDrive | クラウド上のOneDriveを開く |
| Outlook | クラウド上のメールアプリ |
| Teams | クラウド・ローカルのミーティングアプリ |
| Clipchamp | クラウド・ローカルの動画編集アプリ |
| Designer | クラウドのデザイン系アプリ |
| Editor | Edgeブラウザ上の文法・スペルチェッカー |
| Forms | クラウド上でのアンケートやクイズの作成 |
| Lists | クラウド上にマイリストを作成 |
| Loop | クラウド・ローカルの共同作業効率化アプリ |
| Defender | デバイスのセキュリティ保護を管理するアプリ |
| OneNote | クラウド上でのOneNote |
| People | クラウドでのメールの連絡先の管理 |
| Power Automate | クラウドのPower Automate(ビジネス用) |
| Sway | クラウド上のプレゼン・レポート作成 |
| To Do | クラウド上のメールのTo Do |
| 予定表 | クラウド上のメールの予定表 |
この中で目新しいものは「Designer」「Lists」「Loop」です。クラウド上のみのアプリなので、使ってみるのもいいと思います。
昔からある「Forms」や「Sway」は特殊なアプリですが、作成したものを共有したり、URLで公開できるという特徴があります。
クラウド上の「OneNote」は、ローカルのOneNoteとの同期もできるので、メモアプリとして使用することができます。
なお、ローカル版のアプリが開いてしまう場合は、以下の方法でブラウザ版のアプリを開くことも可能です。

3.Microsoft 365 Copilotの有用性はどこにあるか
(1)Officeソフトが入っていないパソコンに有用
ローカルのパソコンに、Officeアプリを持っている方は、あえてクラウド上のアプリを使用する必要はなく、Microsoft 365 Copilot上のワード、エクセル、パワーポイントを使用することはないと思います。
一方で、Officeアプリがパソコンに存在しないという方は、マイクロソフトアカウントを取得するだけで、クラウド版のワード、エクセル、パワーポイントなどを無料で使用できますので、かなり助かるのではないでしょうか。
つまり、Microsoft Officeがインストールされていないパソコンで、Officeのアプリを使いたいという方にとっては、とても有用なアプリです。
この場合、作成されたファイルはOneDriveに保存されていて、いつでも編集することができます。また、クラウド上のOutlookを使えば、作成したファイルを添付して送信したり、受信したメールに添付されたオフィスファイルをOneDriveに保存して、開くことも可能です。
実際には、中古のWindowsパソコン、Macパソコン、Chromebookパソコン、Linuxパソコンなどでの運用が可能です。
特に、Macパソコンでは、Microsoft 365を契約していない人も多いと思うので、MacでMicrosoft Officeのファイルを閲覧したり、編集できるようになるのは助かると思います。
また、教育現場で多く使われているChromebookなども、クラウドのOfficeアプリが使えるのは費用の面で助かるのではないかと思います。
(2)スマホやタブレットでの利用も可能です
パソコンとスマホでOfficeファイルを共有して、閲覧や編集がしたいという需要は昔からあると思います。
以前から、OneDriveの共有は出来たのですが、WordやExcelといったアプリは、Microsoft 365を契約している人しか使えないといった状況が続いていました。
今回、「Microsoft 365 Copilot」が出来たことで、Microsoft 365を契約していない場合でも、このアプリをスマホに導入することで、OneDriveの中にあるWord、Excel、Powerpointの書類を簡単に閲覧したり、さらに編集できたりすることができるようになりました。
以下は、WindowsパソコンとiPhoneの間のファイル共有方法です。
「Microsoft 365 Copilot」のアプリをApple Storeからインストールして、マイクロソフトアカウントでログインします。本人確認が終われば、アプリはすぐに使えます。
使い方としては、パソコンとスマホで共通で閲覧や編集をしたいワードファイルがあった場合、パソコン内にあるOneDrive内にワードのファイルを移動します。わかりやすいように決まったフォルダ「スマホ共有」などのフォルダを作っておき、その中にファイルを移動するのがいいと思います。
この段階で、クラウドのOneDriveにファイルがアップロードされます。
スマホ側で、「Microsoft 365 Copilot」のアプリを起動して、「マイファイル」をタップすると、OneDriveの中のフォルダやファイルが表示されます。ここで、さきほどの「スマホ共有」のフォルダを見つけてタップします。
その中に、目的のワードファイルがあったら、それをタップします。
クラウド上からファイルがダウンロードされて、閲覧できるようになります。
ファイルを編集したい場合は、「鉛筆アイコン」を選択します。
ファイルを編集し終えたら、「完了」をタップします。(閲覧モードに戻る)
この段階で、OneDriveに自動で同期が行われます。
OneDriveによるパソコンとスマホの間の同期は、多少時間がかかることもありますが、しばらく待てば正常に行われるはずです。
このスマホ版の「Microsoft 365 Copilot」で使用できるアプリは、ワード、エクセル、パワーポイントとDesignerとなります。パソコンの「Microsoft 365 Copilot」に比べると使用できるアプリは制限されています。
4.Microsoftが目指すところ
Microsoftとしては、「Microsoft 365」の契約者を増やしていきたいということは当然だと思います。
しかし、現状では個人がパソコンを購入する場合、永久版のOffice(Office Home and Business 2024など)を付属して購入される方が多く、Microsoft 365を購入するのは、会社関係か、パソコンを複数所有している方になると思います。
今回説明した「Microsoft 365 Copilot」は、個人ユーザー向けにマイクロソフトのアプリを広めたいという意図があるものと思われます。
また、最近マイクロソフトが推し進めている「OneDriveバックアップ計画」をより進めていきたいという意図もあるかと思います。
さらに、MacやChromebookなどでは、Googleドキュメントのアプリが主に使用されている現状を、MicrosoftのOfficeに変えていきたいということもあると思います。
これまで、クラウドのOfficeは動きが遅いというような欠点もありましたが、パソコンの性能も上がってきて、非常にスムーズに使えるようになっていると思います。
そして、何よりもタブレット(iPad)や、スマホとの連携という意味でも、OneDriveをクラウドストレージとして広めていきたい狙いがあると思われます。
マイクロソフトという会社は、昔から試行錯誤を行いながら成長している会社だと思います。その試行錯誤にユーザーは振り回されてここまで来ていますが、これからもAI関連での試行錯誤は続いていきますので、ユーザーとしては、マイクロソフトに振り回されることのないよう、使えるものだけをしっかり使って、勉強していくのがいいと思います。






















