ローカルとクラウドのOutlookアプリ(5種類)の仕組みを理解する

Windows11のパソコンを購入すると、Outlook(new)というアプリがメニューの中にあります。このアプリとは別にOutlook(classic)というアプリが入っている方もいるかと思います。

今やOutlookと呼ばれているアプリは、5種類あります。

  • Windows11に標準で入っているOutlook(new)
  • Microsoft 365に入っているOutlook(classic)
  • Office Home and Business 2024などの永久版Officeに入っているOutlook(classic)
  • ネット上にあるMicrosoft 365の中のOutlook(web)
  • iPhoneやAndroidスマホのアプリとしてのOutlook(スマホアプリ)

なぜ、これほど多くのOutlookを作ってしまったのかはわかりませんが、これらOutlookにはとても複雑な関係性があり、現在マイクロソフトが進めているのは、Outlookのメール・連絡先・予定表などの同期による一元化です。

この現象を一言で言えば、「OutlookはGmailを目指して進化している」ということになります。

今回の記事では、これら5つのOutlookの関係性と特徴について書いていこうと思います。

 

1.パソコン版 Outlookの歴史

マイクロソフトは、OSを変えるたびに新しいメールアプリを登場させてきました。

初代は、Windows 98のOutlook Expressから始まり、Windows VistaではWindowsメール、Windows7ではWindows Liveメール、Windows 10ではOutlook(newではない)、Windows11からOutlook(new)となります。

一方で、Microsoft Officeの中にあるOutlook(Office版のOutlook)は、1997年に発売されたOffice 97に初めて搭載されたアプリで、その後代々受け継がれてきています。おそらく、このOffice版のOutlookが最も多くの方に使われてきたアプリだと思います。

パソコンを購入する段階でOfficeアプリが入ったモデルを購入すると、いわゆる永久版Officeが手に入ります。現在の最新の永久版OfficeはOffice 2024ということになっています。

一方、Microsoft Officeをサブスクとして初めて販売したのが、2011年のOffice 365となりますが、2020年にMicrosoft 365という名称に代わります。これは、クラウド上にあったWeb版Office(Office.com)Office 365を統合して、Microsoft 365という統合ブランドを作ったという経緯のようです。

一方で、Microsoft Officeは、2022年頃からWindowsストアのアプリとしても供給するようになり、従来版Officeアプリ版Officeが混在している状態が現在でも続いています。

現在(2026年)では、Office版のOutlookは、Outlook(classic)という名称で呼ばれています。最新のWindows11のパソコンでは、Officeは入っているのに、Office版のOutlookが見当たらず、Outlook(new)しかないという方もいるようです。

Office版のOutlook(classic)が見当たらない場合は、マイクロソフトアカウントページのサブスクリプションの中にある購入済のOffice(永久版OfficeもしくはサブスクOffice)を直接インストールすると、Outlook(classic)が生まれてきます。

マイクロソフトでは、Office版のOutlook(classic)よりも、Windows11に標準で付属するOutlook(new)を使用することを推奨しているため、このようなことがあるようです。

 

2.クラウド版 Outlookの歴史

クラウド版Outlookは、当初企業向けのクラウドして1997年に誕生していますが、個人向けのクラウド版Outlookは、2012年に誕生しています。

大きな流れとして、Windows 7までのパソコンは32ビットが主流であり、ローカルアカウントで使用することがあたりまえでした。Windows 10になると64ビットになり、マイクロソフトアカウントの使用があたりまえになってきます。つまり、Windows 7から8を経て10になる間に、マイクロソフトアカウントというしくみが構築され、クラウド使用は、企業だけでなく個人まで広がっていくようになったわけです。

2012年に、Officeのアプリをクラウド上で使えるという「Office.com」というサービスが誕生するのですが、その中で、クラウド版のOutlook(メール・予定表・連絡先)の提供が始まりました。

その後、前述したように2020年にOffice.comは、Office 365と統合して、Microsoft 365という名称に変化していきます。

クラウドのOutlookで特筆すべきなのは、メールサーバーの存在です。当初から企業向けに開発された「Exchange Server」が有名なのですが、その技術基盤をクラウド上で実現したのが、「Exchange Online」というクラウド型のメールサービス基盤です。

この最先端の「Exchange Online」が、現在のクラウド側Outlookアプリの根幹となっています。

 

3.5つのタイプのOutlookの存在

最初に触れましたが、現在のOutlookは以下の5つの種類があります。

  • Windows11に標準で入っているOutlook(new)
  • Microsoft 365に入っているOutlook(classic)
  • Office Home and Business 2024などの永久版Officeに入っているOutlook(classic)
  • ネット上にあるMicrosoft 365の中のOutlook(web)
  • iPhoneやAndroidスマホのアプリとしてのOutlook(スマホアプリ)

上記の5つの内、分かりにくいのが2と3が共にOutlook(classic)と呼ばれていることです。

ここでは、この2つを区別するために便宜的に以下のように表示するようにします。

Outlook 365(classic)・・・Microsoft 365のサブスクの系列
Outlook 20XX(classic)・・・2019,2021,2024という系列

これらの関係を図にすると以下のようになります。

Outlookメールのしくみ

マイクロソフトアカウントに登録されたメールの中で、マイクロソフト純正のメール(@outlook.jp、@outlook.com、hotmail.comの3つのメール)についてのみ、クラウド上にあるExchange Onlineにより管理されて、メールの同期が行われています。

Gmail、Yahoo!メール、iCloudメールなども登録できますが、これらのWebメールはそれぞれのクラウドにより同期されています。

POPメールは、同期の対象ではありません。

 

(1)Windows11に標準で入っているOutlook(new)

このアプリは、マイクロソフト純正のメールについては、直にExchange Onlineとやり取りをしており、同期をおこなっています。
一方で、Gmail, Yahooメール、iCloudメールも登録できますが、これらは独自のクラウドにより同期が行われる形です。

POPメールについても登録ができますが、メールのデータファイルは従来のような1つのファイルとして存在していません。

このため、メールデータを1つのファイルとして取得したい場合、アプリの設定からデータファイルをpstファイルとしてエクスポートしたり、インポートしたりする設定があるのですが、この機能を使用するためには、Microsoft 365のサブスクを購入している場合に限られます。

Microsoft 365のサブスクのマイクロソフトアカウントを設定から登録すると、メールのデータファイルをpstファイルとしてバックアップすることができたり、pstファイルをインポートすることもできるようになります。

ここで使用するマイクロソフトアカウントは、メールに登録したマクロソフトアカウントとは別のマイクロソフトアカウントでも問題ありません。(ご自身で2つ以上のマイクロソフトアカウントを所有しており、そのうちの1つでサブスクを購入しているような場合が想定されるため)

これらのことから、過去のOutlookのPOPメールデータファイルをOutlook(new)にインポートするためには、Microsoft 365のサブスクの契約が必須となっており、永久版のOfficeを使っている方にとっては、過去のメールを継承できないことになります。

 

(2)Microsoft 365に入っているOutlook(classic)

Microsoft 365をサブスクで購入されている方には、Outlook(Classic)も使うことができます。

サブスク版のMicrosoft 365のOutlookは、永久版OfficeのOutlookと見た目上は同じなのですが、マイクロソフト純正メールの登録が自動で行われ、Exchange Onlineとの同期もスムーズです。

マイクロソフト純正メールについては、クラウドのExchange Onlineにメールデータが保存されています。

ユーザーのAppData\Local\Microsoft\Outlookの場所にostファイルは保存されていますが、これは必須ではなく、クラウドのバックアップとの意味合いで置かれているものです。このファイルを削除しても、メールを起動すると自動的に作成されるようになります。

一方で、POPメールのデータファイルについては、従来と同様にドキュメント内の「Outlookファイル」フォルダに、pstファイルとして保存されます。

Microsoft 365のサブスクを契約されている方は、Outlook(new)とOutlook(classic)のどちらを選択しても、過去からのメールを引き継いで使うことはできますが、メール機能や使いやすさを考えると、Outlook(classic)を選択した方が使いやすいと思われます。

 

(3)永久版Officeに入っているOutlook(classic)

いわゆる従来型のOutlookがこのタイプです。呼び名はOutlook(classic)となります。

このOutlookにマイクロソフト純正メールを登録する場合、自動では登録されません
メールアドレスを入力後、手動で登録するようにした後、メールの種類で「Exchange」を選択すると、その後は自動で設定が行われます。

設定さえできれば、クラウドのExchange Onlineにメールデータが保存されて、同期も行われます。メールのデータファイルは、ユーザーのAppData\Local\Microsoft\Outlookの場所にostファイルとしてバックアップされます。

一方で、POPメールのデータファイルについては、従来と同様にドキュメント内の「Outlookファイル」フォルダに、pstファイルとして保存されます。

この従来型のOutlookは過去のPOPメールを引き継いで使用している方が多いのではないかと思います。そのため、Outlook(new)ではなく、Outlook(classic)を使うようにした方が、スムーズなメールの継承ができると考えられます。

 

(4)ネット上にあるMicrosoft 365の中のOutlook(web)

Webメールとしての位置づけとなるのが、Microsoft 365の中にあるOutlook(web)です。

メールアプリをインストールすることなく、ログインだけで使えるという利点があります。

このOutlook(web)へのアクセスと設定方法は、以下のようになります。

  • Edgeを起動します。
  • 最初に開いてくるページがmsnのポータルページです。(新しいタブでも開きます)
  • このページの左上の隅に9個の点のマークがあります。
  • この9個の点のマークをクリックすると、その中にOutookがあるのでクリックします。
  • 最初に、マイクロソフトアカウントとしてのマクロソフト純正メールを登録します。
  • メールを使用できるようになります。

このメールの特徴は、「マイクロソフトアカウントとしてのマクロソフト純正メール」しか登録することが出来ないという点です。

マイクロソフト純正メールとは、@outlook.jp、@outlook.com、@hotmail.comの3つのメールを指します。

もし、マイクロソフトアカウントメールを上記の純正メール以外にしている場合、そのメールの登録はできません。

さらに、このOutlook(web)には、1つのマイクロソフトアカウントメールしか登録することができません。(複数のメールが登録できません)

このようなことから、このメールについては、あまり多くのことを期待することはできないのですが、メールの画面としては、Outlook(new)とほぼ同じデザインとなっています。

 

(5)iPhoneやAndroidのスマホアプリとしてのOutlook

iPhoneであれば「App Store」、Androidスマホであれば「Google Play」から無料でインストールできるメールアプリです。

こちらも、まず最初に行うのは、@outlook.jp、@outlook.com、@hotmail.comなどのマイクロソフト純正メールの登録になります。

これらのメールをお持ちでない場合は、その場で純正メールを作成することもできます。

純正メールの登録後は、Gmail、Yahoo!メール、iCloudメールなどを登録することができます。

しかし、POPメールについては登録することができません

Gmailを見たければ、Gmailアプリ、Yahoo!メールを見たければ、Yahoo!メールアプリがありますし、iPhoneであればメールアプリでiCloudメールは見れますので、わざわざOutlookアプリを入れる必要があるのかと思うのが自然だと思います。

唯一、OutlookアプリをiPhoneやAndroidアプリに入れる意味は、Outlookの予定表や連絡先が同期されていることだと思います。

特に、大きな会社などではGmailやYahoo!メールは、セキュリティ上からパソコンでは使えなくなっていることが多く、Outlook一択ということもあります。

このような場合、スマホ上でメールに加えて、カレンダーや連絡先が確認できるという点は、1つの長所と言えるのかもしれません。

 

4.Outlookのセキュリティについて

マイクロソフトが推奨しているのは、@outlook.jp、outlook.com、hotmail.comという3つの純正メールを使うことです。

なぜ、この純正メールを使うことを薦めているかというと、それはメールのセキュリティという側面が大きいと思われます。

たとえば、POPメールのようなメールをマイクロソフトアカウントに登録している場合、メールが乗っ取られたり、なりすまされるようなことがあり、マイクロソフトのサービスが危険にさらされることが予想されます。

これに対して、純正メールであれば、クラウドのExchange Onlineで管理されていますので、迷惑メール、なりすましメール、ウイルス添付メールなどを除外して、受信トレイに配信することが可能になります。

まさに、Gmailが行っている迷惑メール排除システムを、Exchange Onlineに持たせているような感じです。

一方で、GmailはPOPメールをアプリ内で受信することを2026年3月に廃止しました。この理由はわかりませんが、POPメールから流入してくる迷惑メールやウイルスメールが増加し、Gmailそのもののサービスを圧迫しているという状況になってきたためではないかと思われます。

従来のOfficeタイプのOutlookでは、メールアプリによる迷惑メールや広告メールの排除、ウイルス添付メールの排除などの機能が弱く、セキュリティ上とても危険な状態にあると考えられます。

このような中で、Microsoft 365のビジネス版(法人版)では、「カスタム法人メール」というサービスがあり、いわゆる会社の独自ドメインメールをマイクロソフトアカウントのメールとして登録できるサービスがあり、これにより、会社のメールのセキュリティを高めることができます。

つまり、グーグルがGoogle Workspaceで独自ドメインを登録し、Gmail上で会社のメールが安全に使えるようにしたことと同様に、マイクロソフトでも、Microsoft 365のビジネス版であれば、独自ドメインを登録して使用できるというわけです。

一般的には、スタートアップの会社などでは、Google Workspaceの利用が多いのですが、従来からの中小企業や大企業では、Gmailではなく、Outlookをメールアプリとして引き続き使用したいと考えている会社が多いと思われます。

このようなことから、マイクロソフトとしては、個人にはマイクロソフト純正メールの使用を促し、会社や企業にはMicrosoft 365ビジネス版で、独自ドメインメールの使用を促すということで、メール全体の安全性を高めていきたいということだと思うのです。

一方で、Outlook(New)やOutlook(classic)に登録されたPOPメールについては、Exchange Onlineが持つ「迷惑メール・広告メール・ウイルスメールなどの排除機能」は全く働きません。

つまり、POPメールについては、従来からの危険性が続いていると考えてください。

 

5.今後は、POPメールを使わないようにすることが大切です

実は、パソコンのウイルスへの感染や、なりすましの被害のほとんどは、POPメールから生まれています。特に、インターネットプロバイダーのメールについては、その多くがPOPメールであり、近年危険性が増しています。

ネット上のサービスで、顧客のメールアドレスとパスワードなどが流出したというニュースが頻繁にありますが、このような場合にもPOPメールの方が危険性が高いと考えられます。

メールアプリの問題というより、Webメール系なのか、POPメール系なのかという区別の方が重要です。

Webメール系(Gmail、Yahoo!メール、iCloudメール)では、以下の点で安全です。

  • メールボックスが、ローカルのパソコンではなく、クラウド上にある
  • クラウド側で、迷惑メールやウイルスチェックが行われている
  • 受信トレイに配信されるメールは、安全なメールのみである
  • 添付ファイルは必要に応じてダウンロードすることもあるが、ダウンロード途中でセキュリティソフトがスキャンを行い、ウイルスを検知することができる
  • メールへのログイン時には、本人確認や2段階認証などが行われ、他人からログインできないようになっている
  • 不信な動きがあった場合は、メールに報告がやってくる

一方、POPメールの場合は、

  • メールは受信した段階で、ローカルのパソコンに保存される
  • メールの添付ファイルも受信した段階で、ローカルのパソコンに保存される
  • メールサーバーでのチェックはある程度行われるものの、迷惑メールやウイルスメールが受信トレイに紛れ込んでくる可能性が高い
  • メールの設定は、メールアドレスとパスワードが分かっていれば、誰でも設定可能である
  • 受信トレイに配信された不審なメールや添付ファイルを開けてしまう可能性が高い

以上のようなことから、なるべくPOPメールを使用している方は、Webメール系に変更していった方が安全です。

今回のマイクロソフト純正メール(@outlook.jp、@outlook.com、hotmail.com)についても、いわゆるWebメール系のメールです。そういう意味で、新しいパソコンでマイクロソフトアカウントを登録される場合は、このタイプのメールを使用することをお薦めします。

 

6.メールの休止(休眠)期間に注意してください

Webメール系のメールを使用することを推奨しましたが、1つだけ注意することがあります。

Webメール系のメールは、長期に渡りメールが使用されていない場合、クラウド側の容量を節約するために、強制的に休止状態(休眠状態)となる場合があります。

Webメールの休止期間について

Webメールの種類 休止・休眠期間と注意点
Outlookメール
(マイクロソフト純正メール)
2年間に1度もサインインがない(メールをチェックしていない)場合、アカウント停止・削除の対象になる。
Gmail 2年間まったく使用していない場合、無効(休眠)アカウントになり、Gmailのメール、ドライブ、フォトなどが削除されることもあります。
Yahoo!メール 6か月以上、Yahoo!メールにログインされていない場合、メールが利用停止になる。
利用の再開が出来る期間もありますが、メールアドレスが削除されることもある。
有料サービスを利用していた場合は、休止期間はない。
iCloudメール はっきりした休止期間はないので、メールアドレスが削除されることはない。
ただし、長期に使用しないと一部のメールが削除される可能性はある。

基本的に、メールアプリを開いて送受信するか、ブラウザを開いてメールにアクセスすれば、ログインしたことになります。

特に、Yahoo!メールについては、6か月使用しないと休止されることがあるので、注意が必要です。

 

7.まとめ

マイクロソフトは、これまで多くのローカルのメールアプリを作成してきましたが、最終的に「Exchange Online」というクラウド管理のメールシステムに落ち着いてきたようです。

従来からのOfficeタイプのOutlook(classic)と、Windows11に標準で付属するOutlook(New)の2つが並列で存在していますが、過去のメール資産を引き継げるようにする技術と、より安全なメールシステムの技術の2つが共存している状態だと思います。

受信トレイや送信済みアイテムが同期されるのは、マイクロソフト純正メール(@outlook.jp、@outlook.com、hotmail.com)とMicrosoft 365ビジネス版を使った場合の「カスタム法人メール」のみです。

クラウドとの同期により複数のパソコンで同じ環境のメールが使用できること、またスマホアプリでも使用できること、予定表や連絡先も同期されることなどが利点となります。

ただし、POPメールについては同期対象ではありませんので、従来型の使い方は続きそうです。

個人・法人とも、できるだけPOPメールを使わない環境に移行することが今後の課題となりそうです。

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