
円高の影響でパソコンの価格も上昇しています。そんな中で中古パソコンを購入するという選択肢も増えてきています。
一般に、パソコンの速度が遅くなる原因は、ハードディスクやSSDの劣化にあります。2020年以降のパソコンは、ハードディスクではなくSSDを搭載しているパソコンがあたりまえになってきていますが、現在販売されている中古パソコンについてもSSDを搭載しているモデルが主流です。
ちょうど2015年くらいからノートパソコンについては、SSDに移行が始まっており、特に中古パソコンで売られているビジネスモデルのノートパソコンについては、より早くSSDへの移行が始まったものと考えられます。
このため、現在販売されている中古パソコンのSSDの容量は128GBや256GBが多いのではないかと思います。
一般にハードディスクの寿命は5年程度だと思われますが、SSDの寿命はそれよりも長いと考えられています。駆動系のないSSDは、書き換え回数最大10万回といわれていますが、実際にはSSDの耐久性は、SSDの種類や使い方によっても変わります。
数年前に私もアマゾンで中古パソコンを購入しましたが、その時に購入した機種は、2016年の発売時期のものでした。今年が2026年なので、ほぼ10年前に発売された機種になります。
SSDと言えども、10年までの耐久性は保証されていませんので使っているうちに、急激に速度が低下することがあります。
SSDの書き換え回数は10万回もあるのに、どうしてSSDが劣化するのだろうと考える方も多いと思いますが、最近のWindows10やWindows11の場合、起動している時間帯の中でたえず自動でディスクの最適化が行われています。
パソコンのLEDの点滅を確認していただければ、絶えずLEDが点滅を繰り返していることに気づくかと思います。また常駐ソフトなどによって絶えず書き込みが行なわれているような場合もあります。
また、SSDは熱に弱いと言われています。使用しているパソコンで熱がこもったり、パソコンを長時間酷使するような使い方をすると、熱が発生してSSDの寿命を縮めることになります。
特に顕著な症状としては起動してからデスクトップが出てくるまでにかなりの時間がかかるような場合や、デスクトップが出て来てからも砂時計マークが絶えず出て、使用する段階になるまで10分以上かかるような場合は、SSDの劣化が顕著だと言えます。
今回は、劣化したSSDを新しいSSDに入れ替える場合のやり方と注意点について説明してみたいと思います。
1.SSDの劣化度を調べる
(1)SSDの健康状態を見る
SSDの健康状態を見るためのアプリがあります。
Windowsストアを開いて、「CrystalDiskInfo」を検索して、このアプリをインストールして開いてください。

このアプリ上から、現在のSSDの健康状態を知ることができます。
特に「総書込量(ホスト)」という項目が重要になります。
(2)SSDの型番からTBWを調べる
TBWというのは、Total Bytes Writtenという略で、メーカーが公表する「書き込み耐久値」のことです。このTBWの書き込み量に対して、上記で調べた「総書込量(ホスト)」が何パーセントにレベルに来ているかによって交換時期が推し量れます。
TBWを調べる場合は、メーカーが公表している製品仕様書を見るのがいいのですが、調べるのは難しいので、AIに直接聞いてみるのがいいと思います。
「SSDの型番と容量」から「TBW」を聞くとAIが答えてくれます。
ちなみに、現在私が日頃使っているパソコンのSSDをCrystalDiskInfoで調べた画面を以下に示します。

型番と容量は、「WD Blue SN570 500GB」ということで、AIに聞いてみると、
「Western DigitalのNVMe SSD「WD Blue SN570 500GB」の耐久性(TBW:総書込容量)は 300 TBW です。」という答えが返ってきました。
(3)劣化度の計算
上記の画面から、総書込量は「26408 GB」=「26.408TB」となるので、
26.408TB ÷ 300TBW = 8.8%(劣化度)
となります。
このパーセンテージが、70%~80%になれば、交換時期となります。
実際には、70%に達する前でも、速度低下が起こってくれば交換時期になると思われます。
2.SSD換装のための知識
SSD換装とは、古くなったハードディスクやSSDを新しいSSDに交換する作業のことをいいます。
当然、パソコンを分解する作業なので、大変なことは言うまでもありません。ただ、最も重要なことは、SSDを入れ替えるだけという意味ではないのです。古いSSDを新しいSSDに完全にコピーして移し替えるという作業になります。
新しいSSDに入れ替えて、リカバリーUSBなどを使ってリカバリーするという方法もありますが、リカバリー後に多くのアプリのインストールや設定をしなければならないという手間が生じます。
SSD換装は、現在のパソコンの環境をそのまま維持して、SSDだけを新しいものに入れ替えるという作業になります。
(1)セクター数を調べる
ハードディスクやSSDの容量は、メーカーや型番によってまちまちということが多々あります。そのため、シールに記載している容量ではなく、正確な容量(セクター数)を知ることが大切です。
(方法1)PowerShellで調べる
PowerShellを起動して、以下のコマンドを入力してEnterする
Get-PhysicalDisk | Select FriendlyName, Size
(方法2)コマンドプロンプトで調べる
コマンドプロンプトを起動して、以下のコマンドを入力してEnterする
wmic diskdrive get model, size
上記のどちらの方法でも構いませんので、セクター数を調べてください。
このセクター数を書き留めておいてください。(sizeの数値の部分です)
(2)エラーチェックを行う
古いハードディスクやSSDについては、内部的なエラーがある場合もあります。エラーがあると、新しいSSD側にもエラーが引き継がれることにもなりますし、何よりもコピー中にエラーでコピーが正常に行われないこともあります。
事前に、エラーチェック(プロパティのツールの中にあるエラーチェック)を必ず行ってください。
(3)暗号化をOFFにする
ハードディスクやSSDが暗号化されていると、正常なコピーが出来ません。必ず暗号化設定をオフにしてください。(パソコンの「設定」の中で暗号化のオフができます)
暗号化の解除は、慎重に行ってください。ハードディスクやSSDに重大な欠陥があるような場合、暗号化の解除に失敗することがあります。重大なエラーを抱えたハードディスクやSSDの場合は、今回のSSDの換装には向いていません。暗号化の解除に失敗した場合、パソコンが起動しなくなります。
ハードディスクやSSDの暗号化については、個人のパソコンでは通常は全く必要ありません。パソコンを購入した直後に、暗号化をオフにしておくことをおすすめします。
(4)パソコンを分解する
パソコンの分解が出来るかどうかが、一番のポイントです。
パソコンによっては、ネジがなかったりして全く手が出せないものもあります。よくあるのは、外資系のパソコンの場合は、ネジが特殊ネジになっているようなこともあり、分解が難しいことがあります。
日本製のパソコンであれば、プラスネジを取るだけで分解できるものが多いように思います。
ネジがあっても、どのような手順で分解すればいいのかが、さっぱりわからない場合もあります。
このような場合は、パソコンの型番をYoutubeの検索で入力して、分解方法の動画があるかを調べてみてください。
もし、全く分解方法がわからないような場合は、あきらめるほうがいいと思います。無理して分解してパソコンを壊してしまっては、本末転倒だからです。
運よく分解方法がわかり、分解できる場合のみ次の手順を行ってください。
(5)SSDの種類を調べる
- パソコンの背面からネジを外して、パソコンを分解する
- SSDを探して、取り外す。
- SSDに貼られているシールの情報を確認する。
実は、SSDには多くの種類があります。パソコンに内蔵されているSSDの型番を調べて、それと同じタイプのSSDを購入する必要があります。
SSDの種類には、接続方式としてSATAタイプとNVMeタイプの2つがあります。
また、形状として、ハードディスクと同じサイズの2.5インチタイプのSATAタイプと、基板タイプのM.2タイプ(SATAとNVmeの2種類がある)があります。
さらに、基板タイプの場合は、横幅は22mmと決まっているのですが、長さが30mm、42mm、60mm、80mm(、110mm)などがあります。
以上のことから調べるのは、
- SSDのメーカー
- 接続タイプは、SATAタイプか、NVMeタイプか
- 形状は、2.5インチSATAタイプか、M.2タイプか?
- M.2の場合、長さは何ミリか?
最近のパソコンの場合、主流は、M.2.NVMe SSD 2280タイプです。一方、中古パソコンなどでは、M.2 SATA 2280タイプもあります。
ハードディスクからSSDに変更する場合は、2.5インチSATA SSDとなりますが、この場合は、ネジの位置やSSDの厚さなどにも注意が必要です。
(6)同じタイプのSSDを購入する
ここで初めてSSDの購入という段階になります。ここで大切なことはSSDの種類やサイズがあっていても、セクター数を調べて購入する必要があります。
つまり、古いSSDのセクター数と同等か、それより大きいセクター数を持つSSDを購入する必要があります。
なぜなら、新しいSSDのセクター数が、古いSSDのセクター数より小さい場合は、コピーができないからです。
古いSSDのセクター数は、上記で調べて記録していると思いますが、新しいSSDのセクター数については、調べることがかなり難しい場合があります。
そのような場合は、購入予定のSSDのメーカーと型番と容量をAIに伝えて、セクター数を聞いてみるのがいいと思います。AI側で正確な値を調べてくれたり、メーカーや型番から推測してくれたりするので、すごく助かります。
また、気を付けて欲しいのは、あまりにも安いSSDを買わないことです。粗悪品のSSDは故障しやすいので、クチコミなどを参考にしながら、有名なメーカーのものを購入するか、日本の会社のものを購入するのが安全です。
SSDの価格は近年高くなってきています。有名なメーカーのものは高すぎると思われる方は、「WINTEN」という会社のものをおすすめします。日本の会社なので安心です。

3.SSDのまるごとコピー
古いハードディスクや古いSSDの内容を、新しいSSDにまるごとコピーするためには、クローンを作成する機器(クローンスタンド)が必要です。アマゾンなどで購入できます。
新しいSSDの方が古いハードディスクや古いSSDよりもセクター数が大きくなければ、機器は全くコピーを開始しません。たとえば、同じ512GBと書いていても、SSDの容量はまちまちですし、同じメーカーであっても異なる容量のものはあります。このため、SSDのセクター数を調べることが最も大切なことです。
(1)2.5インチSATA SSDへのコピーの場合
(元)3.5インチSATA HDD → (新)2.5インチSATA SSDへのコピー
(元)2.5インチSATA SSD → (新)2.5インチSATA SSDへのコピー
★クローンスタンドの購入
玄人志向3.5/2.5インチSATAクローンスタンド(アマゾン)
(2)M.2 NVMe SSDへのコピーの場合
(元)M.2 NVMe SSD → (新)M.2 NVMe SSD
(3)M.2 SATA SSDへのコピーの場合
(元)M.2 SATA SSD → (新)M.2 SATA SSD
★クローンスタンドの購入
FIDECO NVMe/SATA対応SSDクローンスタンド(アマゾン)
なお、NVMeとSATAの間の互換性はありませんので、必ず同じタイプにコピーするようにしてください。
クローンの作成は、かなり時間がかかります。100%までコピーが完了すれば、成功です。
4.SSDの取付とパソコンの起動
コピーが終了した新しいSSDをパソコンに取付けてください。取り付ける場合は、慎重に取り付けてください。接触不良等がないようにしてください。
分解されたパソコンを組み立てて、電源コードをつないでから、パソコンを起動します。
パソコンが正常に起動できれば、SSD換装は成功しています。
SSD換装を行いながら、1つのパソコンを長く使いたいと考える方は、新しいノートパソコンを購入する場合、パソコンが分解しやすいメーカーを選択するようにしてください。パソコンの背面の写真などを参考にするのがいいと思います。
また、いざという時のために、パソコンの購入直後にリカバリーUSBを作成しておくことをお勧めします。


