パソコン教室をやっていると、会員さんのパソコンのトラブルについてよく相談を受けます。
解決可能なものもあれば、どうしても解決できないようなものもあります。
今回遭遇したのは、Windows10のパソコンにおいて、Microsoft Edgeが起動直後の数秒後に突然落ちてしまうというものでした。
1.Microsoft Edgeのトラブルは致命的です
Microsoft Edgeは、Windows10や11に標準で入っているブラウザソフトであり、トラブルが起きたとしても、簡単にアンインストールして入れなおすということができません。
Windows OSと深い関係にあるアプリなので、Windows UpdateなどでEdge自体のアップデートやEdgeのセキュリティなども自動でアップデートされるようになっています。
このため、昔からEdgeはWindows Updateが中途半端で終わっている場合などにおいて、アプリ自体が起動できないというようなことがよくありました。
このような一般的なトラブルの場合は、パソコンの再起動や、Windows Updateの更新などによって簡単に回復するのですが、一旦起動してから落ちるというトラブルはかなりやっかいなものでした。
パソコンを購入した方は、このようなEdgeのトラブルを想定して、Google ChromeやFireFoxなどの別のブラウザアプリをインストールしておくことを強くお勧めします。
2.Microsoft Edgeが起動後10秒以内に落ちる
この現象は、2022年10月のWindows Updateの後に突然現れました。
原因自体は不明なのですが、Windows Updateが引き金になっていることは確かなようでした。
ネットで検索すると以下のような対策が推奨されていました。
- パソコンの再起動。
- Windows Updateを最新にする。
- 設定の中の「アプリ」の中のMicrosoft Edgeの「変更」ボタンからアプリの修復を行う。
- Microsoft Edgeの権限のON/OFF。
- PowerShellからコマンドで修復。
- Edgeを削除して、再度インストールする。
- アカウントの隠しフォルダのAppData\Local\Microsoft\Edgeの中の「User Data」を削除する。
結果的には、1~6の方法では解決できませんでした。
3の設定のアプリを見ると、Microsoft Edgeをクリックしても「変更」ボタンが淡色表示になっていてクリックすることができませんでした。
4と5も効果はありませんでした。
6のEdgeの削除をコマンドから試みましたが、削除できませんでした。
7の方法については、お気に入りや登録したパスワードなどが消えてしまうということなので、試せませんでした。
3.最終的に、一時的に回復する方法を見つけました
完全な回復ではないのですが、一時的にEdgeが落ちなくなる方法を見つけましたので、以下に書いておきます。
(1)デスクトップ上に「Microsoft Edge」のアイコンを作ります。
(2)このアイコンを右クリックします。
(3)「互換性のトラブルシューティング」をクリックします。
(4)「推奨設定を使用する」をクリックします。
(5)「プログラムのテスト」ボタンを押します。
(6)Microsoft Edgeが起動します。ここで開いたEdgeは閉じるボタンで閉じてください。
(7)元の画面で「次へ」ボタンを押します。
(8)「はい、このプログラムのこの設定を保存します」をクリックします。
(9)「トラブルシューティングツールを終了する」をクリックします。
以上です。
この操作を行った後に、Edgeを起動すると、全く落ちなくなります。
しかし、これは完全な回復ではありません。なぜなら、パソコンを再起動すると、この状態は保存されておらず、再びEdgeが落ちてしまいます。
しかし、再度上記の方法を行うと、Edgeは落ちなくなります。
つまり、上記の方法は、起動する度に行う必要があるということになります。
もちろん面倒なことは、承知していますが、一時的にせよ安定してEdgeが開いた状態になりますので、ここでお気に入りのエクスポートや、登録したパスワードなどをエクスポートできますので、かなり余裕ができると思います。
4.今回のEdgeのトラブルシューティングの意味について
今回のEdgeのトラブルシューティングで回復する方法を見つけたのは、Edgeのアプリの実行ファイルのプロパティを調べたことで発見しました。
Microsoft Edge自体の実行ファイルは、
「C:\Program Files (x86)\Microsoft\Edge\Application\msedge.exe」になります。
この「msedge.exe」を右クリックして「プロパティ」の中の「互換性」タブを開きます。
ここに「互換性のトラブルシューティング」というボタンが用意されています。
一方、その下に「互換モードでこのプログラムを実行する」という項目がありますが、ここにチェックをして、OSを「Windows8」として、適用ボタンを押してからMicrosoft Edgeを起動してみました。
実は、他のWindows OSも試してみたのですが、互換モードとして「Windows8」を選択してから適用ボタンを押したときのみ、Edgeを起動しても落ちなくなりました。
このことから、互換性のトラブルシューティング自体も、互換モードで使ってEdgeが落ちなくなるように調整しているようです。
しかし、一旦パソコンを再起動してしまうと、この互換モードはリセットされてしまうようです。
5.今後のWindows Updateに期待するしかない
Windows OSとMicrosoft Edgeが深い関係にあることと、今回のトラブルがWindows Updateをキッカケとして起きたことを考えると、Edgeのトラブルは今後のWindows Updateでしか解決できないように思われます。
実際に、Windows Updateで不具合が解決することは多々あるので、待っていれば自動的に何かが変化して正常に戻ることもあると思います。
6.「お気に入り」とMicrosoft Edgeの「お気に入り」は、つながっていないと知ってますか?
今回、Microsoft Edgeのトラブルを経験して、重要なことに気づきました。
それは、アカウントフォルダにある「お気に入り」とMicrosoft Edgeの「お気に入り」はイコールではないということです。
アカウントフォルダ内の「お気に入り」は、「Internet Explorerのお気に入り」であって、「Edgeのお気に入り」ではないのです。
新しいパソコンに「お気に入り」を移動するような場合に、単に「お気に入り」のフォルダを移すだけでいいと考えている人が多いと思いますが、Microsoft Edgeのお気に入り自体は、全く異なる別の場所で管理されています。
つまり、パソコン間でEdgeのお気に入りを移動する場合は、Edgeのお気に入りからエクスポートとインポートを行う必要があるということです。
ただし、Edgeの場合は、同じマイクロソフトアカウントであれば、異なるパソコンどうしで、お気に入りを同期するようになっていますので、お気に入りをエクスポートやインポートする必要はないようになっています。
少なくとも、Windows10ではInternet Explorerが存在しているので、「お気に入り」フォルダの意味はわかるのですが、Windows11については、Internet Explorerが存在していないにも関わらず、「お気に入り」フォルダが存在しているという不思議な状態となっています。
本来は、Internet Explorerがない状態では、「お気に入り」フォルダ自体は必要ないと思われますが、過去の状態を引きずっているWindowsとしては、削除するのは簡単ではないようです。
ちなみに、最新のMicrosoft Edgeのお気に入りはどこにあるかというと
C:\Users\(アカウントフォルダ)\AppData\Local\Microsoft\Edge\User Data\Default
のフォルダ直下にある「Bookmarks」となっており、そのバックアップとして「Bookmarks.bak」や「Bookmarks.msbak」などのファイルが作られているようです。
これらのファイルを直接開くことはできませんので、Edgeのお気に入りからエクスポートすれば、htmlファイルとしてブラウザで開いてお気に入りの一覧を見ることができます。