1.パワークエリ・パワーピボットとは?
パワークエリと聞いても、何のこと?と思う方も多いと思います。
パワークエリ、パワーピボットというエクセルの機能は、エクセル2016以降で組み込まれた新しい機能です。
この機能の大きな目的は、簡単に言うとエクセルへのBI(Business Intelligence)機能の追加ということです。
「BI(Business Intelligence)」という言葉は、最近流行りの言葉で、ウィキペディアから引用すると、「経営・会計・情報処理などの用語で、企業などの組織のデータを、収集・蓄積・分析・報告することにより、経営上などの意思決定に役立てる手法や技術のこと。 経営判断上の過去・現在・未来予測などの視点を提供する。」という説明になります。
経営上の意思決定や、未来予測など、私には関係ないと考えている方がほとんどだと思いますが、本来の目的であるBIを実現しないとしても、日々のエクセルの仕事をする上で、このパワークエリ、パワーピボットという2つの機能は、とても有用で画期的な機能になっています。
2.パワークエリを是非使ってもらいたい方
- 毎日、毎週、毎月、エクセルのファイルから同じような手順で加工を行い、結果のデータを導くようなルーチン作業を行っている方
- 人が作った複雑なエクセルデータなどを加工して必要なデータを取り出している方
- 大量のエクセルデータ処理を日々行っているが、時間がかかっている方
- Accessなどのデータベースソフトを使っているが、データの加工が面倒だと感じている方
- 会社のデータベースからダウンロードしたテキストファイルやCSVファイルからデータを加工しているが、エクセルに取り込むと先頭の「0」が消えてしまうことで困っている方
- 複数のシートを手作業で1つのシートにまとめている方
こんな方は、パワークエリを使えるようになると、仕事がとても効率化されていくと思います。
3.パワーピボットを是非使ってもらいたい方
- 複数のテーブルから複数のピボットテーブルやグラフを作っているが、それらの関連性などを手作業でまとめている方
- 会社の商品別の売上や経理で、対前月比、対前年度比などを求めることを行っているが、それらを手作業でまとめている方
- 複数の関連するテーブルを、そのたびごとにまとめて、そこからピボットテーブルやグラフを作成している方
- リアルタイムに変化するデータを相手にしながら、日々ピボットテーブルやグラフを作成している方
こんな方には、パワーピボットは、画期的なツールになると思われます。
4.動的なデータを取り扱うことができます
パワークエリは、外部の動的なデータを取り込み、きまった手順で加工することができる機能を有しています。
つまり、加工の手順だけをきちんと作っておけば、読み込むデータが変わっても同じ処理が一瞬で出来るのです。
パワークエリとは、データの読み込みから結果のデータまでのデータ加工の流れを作成するツールです。
同じ形状のデータ(列の項目や並びが等しい)であれば、データファイルが変化しても、簡単な操作だけで、結果としてのデータを導くことができます。
読み込むことができるデータは、ローカルにあるエクセルファイル、CSVファイル、テキストファイルなどはもちろんですが、各種データベースサーバーからダイレクトに読み込みを行う機能も持っています。
一般のOfficeに比べ、ビジネスバージョンのOfficeの場合は、読み込みできるデータベースの種類が格段に増えます。
もちろん、すでにエクセル内にあるテーブル自体からも、パワークエリに取り込むことができます。
5.テーブルのマージ(結合)ができます
パワークエリの画期的な機能の1つが、テーブルのマージです。
テーブルのマージにも2種類あって、データを読み込む段階で結合を行うという機能と、異なったデータのテーブルどうしで、キーとなる列(フィールド)を選択して結合させるという機能があります。
前者の方は、フォーマットが同じテーブルどうしを、まとめて大きなデータにする場合に有効です。
後者の方は、テーブルどうしの内部結合や外部結合を行う機能で、関係データベース(リレーショナルデータベース)の考え方に基づいた結合になります。
6.計算式を持つカスタム列を追加できます
データの内部で計算させたり、条件式を使って値を導くような計算ができるカスタム列を追加できます。
7.その他のパワークエリの機能
(1)列の分割(区切り文字等による分割)
(2)値の置換(文字の置換)
(3)行と列の入れ替え
(4)空白セルに対して値を入力(フィル)
(5)値のグループ化による行数のカウント
(6)列のピボット化(1つの列の値を元に新しい列を作成)
(7)列のピボット化解除(ピボット化列を解除して、1つの列に値を集約する)
上記の機能を組み合わせることで、複雑なテーブルの加工が可能になっています。
8.パワーピボットは、パワークエリのデータを元に作成されます
パワーピボットは、通常のピボットテーブル(ピボットグラフ)と似ていますが、一番大きな違いは、パワークエリで作成されたテーブルをデータモデル化して、そのデータモデル化したテーブルを使ってピボットテーブル(ピボットグラフ)を作成するということです。
いったい何が違うのかというと、パワーピボットでは、テーブルのフィールド名に加えて、「メジャー」と呼ばれる新しいフィールドを作成できる機能があります。
このメジャーのフィールドには、数式(DAX式と呼ばれる)を書くことができ、これによりピボットテーブル内で計算ができるようになっています。
また、データモデル化したテーブルどうしは、テーブル間のリレーションを設定することができます。これにより、より複合的な条件で、ピボットテーブルを作成することができます。
9.パワークエリ、パワーピボットを独学するために
パワークエリやパワーピボットを勉強するためには、ある程度実践的なデータを持って、試行錯誤しながら学習できる環境が必要です。
一般の学習では、この実践的なデータを確保するのが難しく、このためまずは学習できる環境を整えることが必要です。
ソフト面では、Excel2016、Excel2019、Excel365などのソフトが必要です。
データに関しては、やはり本を購入するのが一番いいと思います。
私が購入した本では、データをダウンロードして使用することができました。
一応、おすすめの本を紹介しておきます。初心者でもかなりわかりやすい説明があるので、独学ができると思います。